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プロローグ
死を決意した。
今までの全てが無駄になり、生きる意味も見失ったから。
"無才の負け組"である俺に、生きる価値などないから。
背後から迫り来るレッドオークに後押しされ、崖から飛び降り命を投げ打った。
「くっっっっそぉぉぉおおおおおおお!!!!!」
目を覚まし眼前にあったのは......天国と天使様だった。
氷で造られた白銀の世界、その中に立つ絶世の美少女。
そして視界にぼんやりと映る光り輝く俺の手。
自らの命と引き換えに新たな才能が開花したらしい。
何を今さら...。
明鏡止水、もはや心は一段と落ち着いていた。
近づいてくる天使様の足音を耳に、数時間前の記憶が蘇る。