~寮生活の始まり~
「つ……ついた……」
私は光を追いかけていた。
途中、走ったのでかなり疲れたけど……
周りの廊下は少し蜘蛛の巣が張っていたり、埃を被っていたり、少しボロいような気がするけど、
光を追いかけて着いた部屋の扉を開ける。
「……え?」
目の前に映る光景に思わず声が漏れてしまった。
窓が少し曇っていて、ベットはととのえられてはいるけれども、蜘蛛の巣は張られていて、簡単に言えばボロい。
…廃墟程ボロくはないけどそれでも……まずは掃除しなきゃな…
「…掃除しなきゃ……」
なんでこんなことに…なんて思いながらバックを近くに置き、掃除をしてくれる魔法具か、雑巾とかないかを探す。
正確には周りを見るだけれども…
クローゼットを見つけ、そこを開けると
「…これは……新しい雑巾!」
真っ白な布、いや、雑巾を見つけた。
あまりの嬉しさに叫んでしまった…
これは使っていいのか悩むけど………これは背に腹は代えられない。
「ありがたく使わせてもらいます!!!」
雑巾に謎に感謝を告げる少女の図が完成してしまったような気がする…。
「と…これが制服?」
そしてクローゼットの中に数着入ってるのを見つけた。
クローゼットの中だけは綺麗で、紋章のようなものも入れられていた。
…蜘蛛の巣の紋章なんてあるんだ。なんて不思議に思いながらクローゼットの扉を閉めて、掃除を始める。
蜘蛛の巣を払い、埃を拭き取り、
時々舞う埃には少し咳き込んだりもした。
「ふぅ……できた……」
その結果無事に掃除を終えることは出来た。
雑巾だけだから窓はまだだけど………寝たり、住む分には問題ないと思う。
そして時計を見れば既に六時を回っていた。
「…六時……どうりでお腹が空いたと思った…」
肩に背負うバックを持って外へ出る。
廊下も矢張ボロいのでいつかは清掃したい…なんて思ってしまうけど流石に学園生活で忙しかったら無理なので断念しとこう……
歩いていると一人の生徒、いや、ここではもう先輩と呼ぶべきなのかな…?
がこっちを見てはすぐに向かってきた。
「え……何…じゃなくて、なんですか……?」
何がなにか全くわからない……。
茶髪で、青い目、綺麗だなぁ…なんて少し思いながらも少し警戒していると
「ねぇ、キミは新入生?」
え?
「…新入生…ですが………」
私がそういうと、一瞬悲しそうな瞳を浮かべながらもすぐに笑顔で、
「一応試験が終わったあとに外に出るのなら制服は着たほうがいいよ
校則だから」
生徒だということを示すために必要なのかな…?
って、着たほうがいい?
「えっ?!そうなんですか…?」
「うん。」
私の質問に即答で頷かれる。
あ、これは急いで着替えなきゃ
「わかりました!?
では、着替えてから行きますね」
慌てて自分の部屋へと走り出す。
気をつけてね~なんて声が聞こえてきたけど今は急がないと、
扉を思い切り開けて部屋に入る。
その時に少し大きな音を出してしまったのは秘密。
そして着替えてみれば、この制服は動きやすい。
なんでだろう…?
そして腰に紋章をつける。
紋章を付けた瞬間、何かに守られているような感じがした。
この紋章は魔法具のひとつなのかな…?
少しくるくる回っていると、お腹の音が私の部屋の中に響いた。
…あ…お腹すいたんだった。
仕切り直して立ち上がり、部屋の外へと出る。
流石に迷子にはならまいと考えながら寮の外へと出ては食堂に行く。
向かっている途中、寮の外では少し変な視線が私に突き刺さった。
なんなんだろう?なんて思いながらも進んでいくのだった。