~不幸少女の試験前の心構え~
三日後____
私は少し重い瞼を開き、起き上がる。
そして時間を確認すれば、まだ時間に余裕がある。
今宵は紅い月の夜。
真っ赤な月が一日中出ており、今日は太陽を拝めない日。
吸血鬼族の人が幸せだと思えてしまう日かも。
もしくは、全てをくるめて言えばアンデット…
紅い月の夜は無闇矢鱈に外に出てはいけないのだが、この学園は特殊なのかその日に試験がある。
なんの為なのかは私にも全くわからない
私はとりあえずでも布団から出て、扉を開けては
「お母さん。おはよう」
と下の階に向かっていいながら階段を降りる。
「おはよう。サラ。」
お母さんは優しい笑顔で挨拶してくれた
やっぱり私のお母さんは良い人だ。
少し急ぐかのように朝ご飯の用意をして、食べはじめる。
「……サラ。」
「何?お母さん。」
お母さんが少し寂しげに笑う。
「強く、そして元気に学園を過ごしていきなさいよ
ただし、無理をしない程度に、」
不幸に巻き込まれてる時点で無理をしないことは不可能だとおもうけど、なんて思いながらも私は返事をする。
「あと、これを付けていきなさいよ」
そういってお母さんが出したのは雪の結晶の刺繍が縫い付けられた私の髪色と同じ淡い水色のお守り。
作っているところを見ていたものの渡されると嬉しい感情が溢れ出してくる。
「お母さん…いいの?」
私がすこし首を傾げて聞くと、
「勿論。少しでもサラの悪運と不幸をバサッ!と払えちゃうように願っとくからさ」
お母さんは私の不幸体質を妬みも恨みもしない。優しくて良い人。
お守りを受け取った後も少し感動して泣きそうになるほどに嬉しい、
「お母さん…ありがとう」
私がそれだけつぶやくと、お母さんはいいってことよ。
なんて答えてくれた。
「ご馳走様でした。」
ご飯を食べ終わって席を立てば、階段を駆け上がり私の部屋に入ってすぐにお母さんが作ったお守りを私のバックに付けて、青いカチューシャをつける。
そして階段を降りてはお母さんがいる部屋の扉を少し軽くノックしてから、
「行ってきます」
と行って直ぐに扉を開けて外へと出る。
いってらっしゃーいというお母さんの声が少し聞こえてきた。
少し安心してしまう反面少し寂しい。
でも、九年間さようなら。私の家。お母さん。
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さて、次回から試験へと参ります。
とある学園の試験はどんなものなのか。。。