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永遠不滅の幻想記  作者: 黎
新たな幻想記の始まり。
2/6

~不幸少女と試験前の話~

私は運に恵まれていない。


運の神に嫌われている、てわけじゃないはずなんだけれども、何故か恵まれていない。

一度もアイスの当たりが出てこないし、なんならよく雨にも振られる、

挙げ句の果てには上から本が落ちてくることもある。


そんな私がたった一つ幸運と思えたかもしれないモノ。

それはたった一通の招待状。

内容は


「親愛なる新入予定の生徒達へ。

貴方様は我が校に入学する権利を得ることが出来ました。

入学試験を受ける権利があります。

試験会場、日時は紅い月が登る夜、フェーン草原の下で。

我々は新入生が我が校に入ってくるのを心待ちにしております………。」


初めて見たときは悪戯の招待状かと思っていたけど。

これは本物だという事がわかった。

理由はこの不思議な模様のクリスタルが書かれた校章。

この校章を捏造することは出来ない。とまで言われてるのだから

これが嘘ではないというのが凄くわかった。

けれども、やっぱり少し信じられない。

私がこの学園に入れるなんて。


試験は紅い月の夜。

てことは三日後。

結構すぐにあるよね…

頑張ろう!私は遂に運に恵まれたから。


私は招待状を試験に持っていくバックに入れて、

三日後の旅支度をする。

青いカチューシャをバックに掛けてはすぐに布団に座る。

本当に待ち遠しくて、少し不安で、楽しみにもなる。

もうすぐ来る紅い月の夜が。

今の月はまだ黄色い。そんな月が真っ赤に染まるのを私は待つ。


でも、まだ私は知らない。

この選択が私にさらなる不幸と幸運を呼び寄せていることに。

白色の蜘蛛が私の部屋にいた事に。

知っていたら私はこの選択に悩んでいただろうか。

こんなに即座に決めていなかったかもしれない。

けれども、私は今その選択をしたことを後悔していない。

結局どう抗ったってこの運命は私には変えられる予感がしなかったから。

私には変えられる力を持っていなかったから。

決してそれは私の言い訳じゃない。

私の悪運の力でもない。

誰が定めたなんて言えるわけじゃないけどこれは決められた運命なんだ。

逆らうなんてそんなこと、出来るわけない。


「____サラ!

招待状読んだのなら早く身支度しなさい!

寮生活になるんでしょう!」


お母さんの声が下から響く。


「あっ…はーい!」


私は急いで部屋から飛び出すように出ては階段を駆け下りる。


ちなみにこの学園は寮があって、そこに九年間入っている感じだ。

つまり、身支度が終わって紅い月の夜、試験に向かう日はお母さんと分かれることの始まりなのだ。

けれども九年経てば帰れる。

少し寂しくもなるけどある意味強くなれるかも。


「サラ。

残り三日、しっかりと休んで行きなさい。」


お母さんが片目を瞑って…ウィンクだね。ウィンクをして言う。


「うん!わかった

でも、手伝いは欠かさないからね」


少しでもお母さんの助けにはなりたいもの。


一人ずっと休んでたら罪悪感しかないし…。


「いったね?

なら、破らないようにしなさいよ~」


お母さんは笑顔で言う。

私がそこでやぶるわけないの、わかってるのに。


「うん!」


私がドヤ顔で言えることかもしれないが私のお母さんは良い人なのだ。

現に今私がその学園に行くと知って御守を作っていた。


お母さんが作っているお守りは雪の結晶の模様が縫い付けられたもの。

雪の結晶というのは私の家が雪と縁が深い…というよりかは、よく雪遊びが好きだからそうしているだけ。


招待状が届いたのはある意味いきなりだったのに、丁寧に作ってくれるところは本当にいい親に巡り会えたと思う。

むしろ私が原因で悪運にあってないのか心配になっちゃうけど…


そして足早に支度を進める。

支度が終わったところで、


「サラ、今日はそろそろ寝なさいよ。

たとえ三日後だとしてもしっかりとした休息は必要だからね」


お母さんからの忠告があったので私はうん!といってはまた窓の近くに行き、月を見る。

綺麗な月に少し見惚れそうになったけれどもすぐに月から目を離し、


「お母さん!お休み」


そういって私は自分の部屋へと階段を駆け上がってのぼり、部屋に入っては丁寧に扉を閉じてから布団に入る。


ぼんやりと天井を見上げては一つ欠伸をして目を閉じる。

あと3日。3日でお母さんとは九年間お別れなんだ。

少し寂しい。けれども自立しなければ。


目を閉じて意識が沈むまではそこまでかからなかったのであった。

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