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思い付いたので書いてみた作品

イケメンでなくてよかった

作者: 早崎富也

 突然だが、俺こと稲垣いながき まことには4人の兄弟がいる。兄が2人と弟が2人だ。そして、この4人はとてつもなくモテる。

 長男のまなぶは3歳上で頭がよく、勉強ができる爽やかなタイプのイケメン。

 次男のひかるは2歳上で、服装や髪形などのセンスがいいクール系のイケメン。

 四男のつよしは1歳下でスポーツ万能、ワイルドな雰囲気のイケメン。

 五男のしょうは2歳下で、音楽の才能に恵まれた可愛い系男子のイケメン。


 そんな4人に囲まれて育った俺は、ブサイクでもないが大してイケメンでもなく、秀でた特技もない平凡男子である。

 勉強はできなくもないが、学兄さんみたいに毎回満点や九割強ををとれるワケではない。

 身だしなみには気をつけているが、輝兄さんみたいに黄色い声援を得られるほどお洒落ではない。

 運動神経が悪いワケではないが、剛みたいに運動会で毎回一位を獲ったりスポーツクラブで大活躍できるワケでもない。

 音痴ではないが、翔みたいにピアノで賞をとれるワケでもない。

 そんな感じだから、どうしても他の兄弟に比べて見劣りしてしまっていた。


 両親は俺たち兄弟を差別することなく平等に育ててくれたし、兄さんたちも意地悪をしてくることはなく、兄弟仲は良好だったと思う。

 それでも近所の人や親戚はいつも俺以外の兄弟のことをベタ褒めするし、学校の先生も俺と兄さんたちを比べていたので、どうしても劣等感を感じずにはいられなかった。


 何より辛かったのは、俺の友達が俺より兄さんたちと仲良くすることだった。

 友達が家に遊びに来たりすると、女子はもちろん、男子も俺より兄さんたちと仲良くするようになった。

 俺のクラスメイトが家に来ても、兄さんたちがいないと知ると露骨にがっかりしたり、俺に見向きもしないで兄さんたちと遊んでいることばかりだった。

 それがショックだった俺は『仲間に入れて』などと言う気力もなく、ただその場に居合わせた人間として過ごしていた。


 寂しかったし友達を横取りされたような気分になって腹も立った。

 けど、兄さんたちにも友達にも『俺よりも仲良くするな』なんて言えるワケもなく、俺はその気持ちを押し殺して過ごした。

 両親は俺が寂しそうにしているのを感じたのか、俺によく話しかけてくれるようになった。

 友達と遊ぶより、両親と過ごすことの方が多かった俺は、家事の手伝いをすることが増え、必然的に家事全般がたしなみ程度にはできるようになった。






 中学生になった俺はバドミントン部に入部し、さらに図書委員として活動していた。

 学兄さんは難関高校に特待生として入学。

 輝兄さんは受験勉強に勤しむ中、あるファッション雑誌から読者モデルとして勧誘されていた。

 剛は小学生の野球チームで活躍し、翔も少年ピアニストとしてそこそこ有名になっていた。

 俺は相変わらず劣等感を抱いていたが、兄弟仲は相変わらずだった。


 そんな中、俺は同じ本が好きという理由で、同じ図書委員の女子である佐山さやまさんと仲良くなっていた。

 佐山さんは物静かな女の子でけっこう可愛く、俺は友情よりも一歩先に進んだ感情を抱いていた。


 ある日、思い切って佐山さんを家に誘ったところ、遊びに来てくれることになった。

 その日は、母は買い物に出かけており、父や兄弟たちも仕事や学校からまだ帰って来ておらず、家には俺と佐山さんの二人きりだった。

 部屋に誘うのは気が退けたので、居間でお菓子を食べながら本のことをはじめ、いろんな話をして楽しい時間を過ごしていた。

 思えば、誰かとちゃんと一緒に過ごす時間が初めてだったので、それも相まってより楽しく感じていたのかもしれない。

 そこへ輝兄さんが帰って来た。

 輝兄さんは佐山さんに軽く挨拶をすると、自分の部屋へと戻って行った。

 それから佐山さんは明らかに頬を赤らめ、俺のことは上の空といった状態になっていた。


 翌日、俺は家に帰る途中で輝兄さんと佐山さんが一緒にいるのを見た。

 家に帰ったあと、輝兄さんにそのことを聞いてみると『ただ一緒に遊んでいただけで、付き合っているワケではない』とのことだった。

 けど、俺は確信していた。佐山さんが輝兄さんに一目惚れしたのだと。


 その次の日から、俺は輝兄さんをはじめとした自分の兄弟たちについて、周りの女子から根掘り葉掘り聞かれるようになった。

 バドミントン部や図書委員会は女子の割合が高く、けっこう俺と仲のいい子もいたのだが、みんな俺への関心はほとんどなくなったのか、兄さんたちの話ばかりするようになった。

 兄さんたちが目当てで俺の家に来たいという子も多かったので、本人たちから了承をとって家に招いたりもした。

 ただ、俺が数日かけて向こうから話しかけてくれるほどに仲良くなった子たちが、兄さんたちとは顔を見た次の瞬間から体に触れたり、腕を絡ませたりする距離感になっているのを見ると、どうしてもイヤな気分になってしまった。


 そんな日々を過ごしていたある日、輝兄さんが佐山さんとは別の女の子と二人きりで遊んでいるのを見た。

 女の子は輝兄さんの腕を組んでおり、デートをしているように見えた。

 ところがその数日後、今度は輝兄さんと佐山さんが二人きりで遊んでいるのを見た。

 輝兄さんは佐山さんの肩に手を添えている。

 その日の夜、どうしても気になった俺はそのことを輝兄さんに直接聞いてみた。


「ただ友達として遊んでいただけだって」


 輝兄さんはそう答えたが、俺は正直納得できなかった。

 だが、友達なのか恋人なのかをハッキリできるワケでもないので、黙り込むしかなかった。

 佐山さんにもそのことは話したのだが……


「輝先輩が二股してるって言うの?実のお兄さんをそんなふうに言うなんて!」


……と、逆に俺が怒られて、佐山さんをはじめ、話を聞いた他の女子からも距離を置かれてしまった。

 仕方がないので、これ以上首を突っ込むのは止めにした。


 それから俺は、あまり人と関わらないようになった。

 仲良くなってもすぐに兄さんたちとの距離の方が近くなってイヤな思いをするなら、最初から一人でいた方がいいと思うようになったのだ。

 俺が勝手に嫉妬しているだけだから誰かを攻めることなんてできないし、輝兄さんに対して多少の不信感はあったけど、兄さんたちが悪意を持って接してくることもないので、やっぱり兄弟仲は変わらなかった。


 ただ、今思えばこの一件は、俺たちの人生を大きく変える、あの事件の予兆みたいなものだったのかもしれない……。






 他人と距離をとって過ごすようにしていた俺に大きな転機が訪れたのは、高校一年生の時だった。

 

 俺はそこそこの偏差値の高校に入学し、平和な学生生活を送っていた。

 入学から半年ほど経ったある日、クラスの女子の何人かが声をかけてきた。


「ねぇ、稲垣君って稲垣輝の弟なの?あと、他にもイケメンの兄弟がいるって本当?」


 輝兄さんは高校受験を終えてから、読者モデルとして活動を開始した。

 その頃には、そのままプロのファッションモデルとして起用される話もあったが、一応大学受験に備えて活動休止していた。


 因みに学兄さんは一流大学に合格し、優等生としてキャンパスライフを開始。

 剛は中学の野球部で活躍した結果、野球の強豪高校への推薦入試の話があり、合格はほぼ確定。

 翔はピアノの練習に力を入れ、進路は音楽の専門学校へ行こうという話になっていた。


俺がそのことを話すと……


「お願い!お兄さんたちと会わせて!カラオケで合コンみたいなことしたいの!もちろん稲垣君も来ていいしお金は私たちで出すから!」


 その話を聞いて、俺の頭にちょっと悪い考えが浮かんだ。


 後日、俺は兄さんたちに話を通してカラオケ合コンの場をセッティングし、自分も参加した。

 女子たちと兄さんたちが楽しそうに話す中、実質一人カラオケ同然の状態で歌い続け、食べ物や飲み物も遠慮なく注文させてもらった。

 もともとカラオケは好きだったので、俺は充実した時間を過ごすことができた。


 その日から俺は、学校の女子たちに兄さんたちのことを話しまくり、出会いの場を設けるようになった。

 そしてお礼としてお菓子やジュースをおごってもらったり、勉強をみてもらったりした。

 時には仲人的な役割として現場に同行し、遊園地や映画のチケット代、ゲームセンターで遊ぶお金を出してもらったあと、単独行動で遊ぶこともあった。

 そんな感じで、兄さんたちのおこぼれを貰いながら過ごすようになった。


 当然女子たちには、兄さんたちにはすでに付き合っている相手がいる可能性や、そうでなくとも断られる可能性があることは、あらかじめ伝えておいた。

 ただ、兄さんたちはほぼ毎回と言っていいほど、時間を設けては会ってくれたので、かなりの頻度で俺は美味しい思いができた。

 劣等感や嫉妬から解放された俺は、自分の状況を前向きに考えられるようになった。


(学兄さんは一流企業に入れるだろうから、俺も就職先の斡旋とかしてもらえるかな~?そうでなくとも、きっとみんな社長令嬢とかモデル級の美女とかと結婚するだろうし、そのツテで俺も良縁に恵まれるかもな~)


 そんなことを考え、そうなった時に備えて自分磨きにも力を入れるようになった。

 兄さんたちのおこぼれを貰うようになってから、俺は前よりも勉強に集中できるようになったし、筋トレやジョギングなども始めて体力もついた。

 人と積極的に話すようになって先生やクラスメイトからの評判もよくなっていった。


 こうして、負の感情でいっぱいだった俺の人生は、高校生活から一変して楽しいものになった。






 そして俺は大学生になった。

 俺が通っている大学は、そこまで偏差値が高いワケではないが、地元では評判のいい大学で、実家からも通える場所にあった。

 大学に入学してからも、兄さんたちのおこぼれで美味しい思いをして過ごしていた。

 兄さんたちもそれぞれ忙しくなったので、高校時代ほど頻繁に会うことはなかったが、テレビ電話などを通じて顔合わせをさせて、お礼を貰ったりした。

 時には泊りがけの旅行に同行することもあり、目的地に着いた後は俺だけ単独行動になったりもしたが、満喫させてもらった。

 その傍ら、兄さんたちのツテを手に入れた時に備え、資格取得などの勉強に励んだ。


 そうやって過ごしながら、大学三年生になった。

 学兄さんは予想通り一流企業に就職し、一人暮らしを開始。

 輝兄さんはファッションモデルとして本格的に活動し、実家にお金を入れて同居している。

 剛は高校卒業と同時にプロ野球チームに入団、期待の新人として注目されている。

 翔はピアニストとしての実力をどんどん上げ、海外留学の話もでてきた。


 そんなふうに兄弟全員すっかり忙しくなったので、俺は兄さんたちのおこぼれを貰うことはほとんどなくなってしまった。

 正直残念だったが、貰えなくなってしまったものは仕方がないので、アルバイトでお金を貯めつつ、ボランティアや運転免許取得とかいろいろやりながら過ごし、少しずつ就活を始めようと思っていたある日のこと、母から一本の電話が入った。


「今すぐ家に帰って来なさい」


 母はそれだけ言うと電話を切った。


 俺が家に帰ると、重たい空気の中で両親と兄さんたち、そして両親と同い年くらいの男女と若い女性が一人、居間に座っていた。


「……この人は誰ですか?」


 俺が入ってくると若い女性が聞いてきた。


「三男の誠です」


「え⁉五人兄弟だったんですか⁉一人だけ全然ちが……」


和子かずこ!」


「っ!」


 母が答えると和子と呼ばれた女性は驚いたように言ったが、女の人の声で静かになった。


「それでは……全員揃ったので話を始めようと思う」


 父がいつになく真剣な口調でそう言い、まず状況の説明が始められた。


 話の内容はこうだった。

 若い女性は和子さんといい、同行していた男女は彼女の両親だった。

 和子さんは学兄さんと肉体的な関係を持っており、赤ちゃんができたとのことだった。

 そのため、学兄さんに結婚を申し込んだのだが……


「お前は俺の弟たちとも交わっていたんだから、そいつらとの子どもかもしれないだろ」


 学兄さんはそう言って結婚を拒否。和子さんが学兄さんだけでなく、輝兄さんや剛たちとも肉体関係を持っていたのは事実だったようだ。

 悩んだ和子さんは自分の両親に相談し、ウチの両親に話し合いの場を設けてもらうように言った。

 そして兄弟全員を集めて、誰が父親なのかをハッキリさせようとしたとのことだった。


 だが、俺が入ってきた時の和子さんの発言から、俺は真っ先に父親候補から外された。

 どうやら、和子さんは自分が会っていたのが四人だけだったことから、兄さんたちを四人兄弟だと思っていたらしく、話し合いが始まらないのは弁護士か何かを待っているのだと考えていたようだ。

 こうして俺の無実はすぐに証明されたのだが、話の内容が気になった俺はその場に同席させてもらうことにした。

 そして話し合いの結果、DNA鑑定をして結果を待つことになり、父親となった人物は和子さんと結婚、もしくは養育費を支払う、翔の場合は両親が養育費を立て替えることが決定し、この日は解散となった。


 しかし、問題はこれでは終わらなかった。

 すでに輝兄さんがファッションモデル、剛がプロ野球選手として注目されていたせいか、どこからかマスコミが嗅ぎ付けて騒ぎ始めた。

 同時にネット上の野次馬からも標的にされてしまったのだ。

 そしてこれがきっかけで、さらに衝撃的な事実が明るみなってしまった。


 なんと兄さんたちは全員女癖が悪かったらしく、二股以上をかけられていた女性たちが何人もネットで声を上げ始め、中には写真まで流出させる人も現れたのだ。

 4人で一人の女性を共有したり、4対4以上で遊んでいるような写真もあり非難の嵐となった。

 全員が何人もの女性に手を出していたので、それはもうすごい数だった。

 俺としては、以前疑惑があった輝兄さんはともかく、学兄さんや剛たちもそんなことをしていたのは衝撃的だった。

 兄さんたちがもともと近所や親戚、通っていた学校で有名だったこともあり、個人情報はあっという間に特定されてしまった。

 そうでなくとも、声を上げた女性の中に中学、高校から関係を持っていた子たちがいたため、その頃から住所が変わっていなかった我が家は、文句を言いに来る女性や嫌がらせの手紙などで大変な事態になってしまった。


 文句を言いに来た女性の中には、俺が高校生の時に紹介した子たちもいたため、俺も責任を感じてその子たちに謝罪した。

 ただ、大半の子たちは『悪いのは浮気していたお兄さんたちで稲垣君が謝ることはない』と言ってくれた。

 俺を責めたてる子も僅かにいたが、八つ当たりだということを頭では理解していたらしく、俺に対しては二、三言だけ文句を言うと帰ってくれた。

 佐山さんたちも『私たちのことを心配して言ってくれていたのに怒ったりしてごめん』と謝ってくれたが、俺としてはもうどうでもいいことだったので『別にいい』と言って話を終わらせた。


 そしてここまで女癖が悪いとやはりというべきか、兄さんたちが手を出した女性にはお約束のように既婚者がおり、その夫から慰謝料請求される事態に。

 さらに流出した写真には、つい最近に未成年と思われる子に手を出している様子や、当時は未成年と思われる剛や翔が、兄さんたちや複数の女性と一緒にお酒を飲んでいるように見えるものもあり、ますます大騒ぎに。

 枕営業していただの、上司や教師に色目を使っただの、事実なのか噂の尾びれ背びれなのかわからない話がどんどん膨れ上がり、収拾がつかなくなってしまった。


 その結果、学兄さんは解雇、輝兄さんはモデルをクビ、剛は野球界から追放、翔は留学が白紙に戻ったうえ退学になった。

 一方俺はというと、周りに兄さんたちのことを紹介しまくっていたことから『自慢の兄弟たちが実はとんでもない人で、ショックを受けているだろう』と思われたらしく、何の被害もないどころか急に優しくされるようになった。

 近所の人や親戚も、『能力が優秀でも性根が腐っていたんじゃな』とか『目立った長所がなくても、大き過ぎる問題点がないのが一番だな』とか言って、俺のことを褒めるようになった。


 そんな騒動が続いたある日のこと、俺は夜遅くに両親に話があると呼ばれた。


「誠、お前はこの家を出て行きなさい」


 父は俺に通帳や印鑑、保険証などを渡してそう言った。

 両親の言い分は以下の通りだった。

 兄さんたちを野放ししておくのは危険だから、監視と再教育を兼ねて家で面倒を見る。

 けどそうなると、お前があの4人のとばっちりを受けてしまうかもしれない。

 だからこの家から逃げ出しなさい。


 俺は両親の言う通り、家を出ることにした。幸い、大学の寮に空き部屋があったのでで、そこで生活することにした。

 寮の生徒や管理人、大学の先生もウチの兄弟の事件を知っているからなのか、すぐに手続きを済ませて温かく迎え入れてくれた。


 引っ越しの準備をしていたある日、俺は家に戻って来ていた兄さんたちに気になっていたことを聞いてみた。


「兄さんたちが一緒に女の子と遊んでいた時、何で俺は呼ばなかったの?」


 俺の問いに学兄さんが答えた。


「イケメンでもない、大して優秀でもないお前が居たら場がしらけるだろ」


 そう言うと輝兄さんたちも一緒になって俺を見下したような目で見始めた。


 その言葉と視線に、俺は今までで一番のショックを受けた。






 家を出た俺は本格的に就職活動を開始した。

 何となく実家から距離を置こうと思った俺は、田舎や地方都市を中心に就職先を探し、ある町の農協から内定をもらえた。

 大学を卒業した後はそこに就職し、職場の近くに家を見つけて一人暮らしを始めた。

 実家には、お盆と年末年始にだけ帰っている。

 就職してから数年後に、趣味で意気投合した職場の同僚と結婚した。

 嫁には家の事情を話し、顔合わせや結婚式には両親だけを呼んだ。

 世間一般では美人と呼べる顔立ちではないが、一緒にいて居心地がよく、円満な家庭を築いて幸せな暮らしをしている。


 一方、兄さんたちもそれぞれ少しずつ自立を始めたらしいが、あれだけちやほやされていた生活から一変して距離をとられるようになったためか、半ば引き籠りのような暮らしをしているらしい。


 今でも、ふとした拍子に兄さんたちのことを思い出しては考えてしまう。

 俺がもし兄さんたちと同じように、才能に恵まれたイケメンだったらどうなっていたのだろうか?

 兄さんたちと一緒に女で遊びまくって、転落人生を送ってしまっていたのだろうか?


 そんな不安に駆られるたびに俺は思うのだった。


 イケメンでなくてよかった、と。

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