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第1-3話 ゴブリン少女の一日 その3

気配を感じたその方向に向かって左腕を伸ばす


手が何かに当たる


「あっ」

手を伸ばした方向から声がする


何に手が当たったのかはすぐに分かった

それを掴み、そちらを見る



それは黒い肌をした腕だった


太さは自分と同じくらい、ゴブリンとしては成人でもおかしくないが、

他種族では子供になる程度の大きさだ


その腕はピウリの腰に下げていた袋を掴んでいたが、

慌ててその手を放し、

自分を掴んでいるピウリの手を振り払おうとする


その顔は後ろを向いているので確認は出来ない

振り払おうとする腕の力は思ったよりも強い


(何にせよ…)


ピウリは素早く腕を引き、体を使ってひねり上げる


「うあぁ…!」

声の主が呻く


そのまま地面に組み伏せた


「少し手癖が悪いみたいだねー」

ピウリはそう言いながら、小さな盗っ人の顔を見る


「うぅ…」

小さな声で呻く声の主は、自分よりも少し若いくらいのダークゴブリンの少女だった


「暴れたり逃げたりしないなら、楽にさせてあげるよー」

ピウリの言葉にダークゴブリンの少女は力なく頷く


騒ぎになってしまうので、場所を移すことにした

広場を抜けて路地に入る


ダークゴブリンの少女は逃げることなくついてきた

路地の一角に腰を下ろし、少女を座らせる


身なりを確認する、

ボロボロの布の服に裸足、思っていた通りだ

薄灰色の髪もぼさぼさで、元々黒いので分かりにくいが、顔色もあまり良くない

「スラムから、だね?」

ピウリは少女に尋ねる


「…ごめんなさい」

ピウリの質問に対して少女は力なく謝罪する


街中でこういったスリはたまに起こる

大抵はこの子の様なスラムに住んでいる住民がこちらにまで出てくるのだ


捕まえても無理矢理逃げ出そうとしたり、ある意味スラム根性が身に付いてる連中が多いけれど…


この子の様に仕方なくやっている、と言うパターンもある


まじまじと様子を眺めると、顔や肌に所々擦り傷がある

スラムで生活しているなら生傷も絶えないか、と特に気にする様な事ではなかったが


力なくうな垂れているダークゴブリンの少女を見ていると、やるせない気分になる

同情なのか、近縁種とは言え同族だからか、なんだかほっとけなくなった


(…どうしたものかなー)


取り敢えずこういう時は


「これ、食べる?」

まだ残っていたコジノを少女に差し出した

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