今日も元気にアイドル活動
ソロで地下アイドル活動を行っている私。
今日は、握手会の日。
私のファンは少ない。でも、みんな余りにも熱狂的なので、握手会を行うことになった。
「うぉぉぉぉ、さーやっち! さーやっち!」
先頭のぽっちゃりな人を中心に、五人がさやっちコールをする。
「みなさん、こんにちは。さやっちです。今日は握手会に来てくれて、ありがとー」
「うぉぉぉぉ!」
「順番にならんでね。時間だけは、たっぷりあるから」
さて、最初は先頭のぽっちゃりなひと。
「さやっち、」
「こんにちは」
「あの、前からさやっちに思ってたことを伝えます!」
「はい」
「お前、その顔でよくアイドルやろうとおもったな」
帰れ、なぜ来た。
「キモくて吐き気がするわ」
「よし、帰れ!」
次は、栄養不足が心配なメガネの人。
「あの、あの、さ、さやっち」
「こんにちは、いつもありがとう!」
「でゅふ、でゅふふ、あ、あのぅ。頭蹴りあげてくださいぃぃぃ!!」
お帰りください
「えぇっと?その、暴力はよくないかなぁー」
「双方の同意があるので、ただのプレイでふ!」
よし、帰れ。さあ、帰れ。
「で、でこぴんじゃ駄目?」
「生ぬるいわ!」
「帰れ」
次は、アフロヘアーの出っ歯の方。
「さーやっち」
「こんにちは」
ささやくような言い方が気持ち悪い。
「今日はね、このあと、地下鉄爆破しに行くんだ」
こいつ、さらっと何いってんの?
「そ、そうなんだ」
「この鞄の中に、爆弾が入っているのさ」
「へ、へぇ」
「爆弾のスイッチは、二つ同時に押さなければいけないんだ。だから、さやっちに一緒に押してほしくて!」
「は?」
「ハジメテの共同作業だね!」
「もしもし? 警察ですか?」
次は、地味な男の子。
「さやっち」
「こんにちは」
「僕を食べてください! 食欲的な意味で!」
帰れ。
「僕の指を!目玉を!髪を!」
帰れ。いや、病院行け。
「えぇっと?」
「僕を噛みきってください! お願いします!」
「病院行け」
握手どころではない。私のファンにまともなファンはいないのか……?
「さやっち、握手してください」
「ありがとう、本当にありがとう」
「さやっちはいつも頑張ってるね! 癖の強いファンしかいないさやっち。それでも、ファンのいるさやっち。万年在庫アイドルのさやっち……」
誉めてる? 貶してる?
「万年在庫アイドルのさやっちが大好きです!」
「……在庫アイドルじゃなくなったら?」
「ファン辞めます!!」
さ、今日も元気にアイドル活動だ!
今日の空です。
おつきあいしてくださり、
ありがとうございます!
精進します。