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虹が逆さにかかるわけ

作者: tarubebi

冬の童話用に書いたのですが参加表明があるとは知らず…。でも消すのにはもったいないので投稿することにしました。

 大きな七色に光る虹。それは決して消えることはない不思議な虹。



 なぜか不思議な虹の元には命が数多く集まります。



 この虹には命を惹き付けるなにかがあるかのように、川が流れ、池が溜まり森が広がりました。その後、どこからかともなく鳥や動物たちもやってきました。



 そうやって産まれたのが、



 『虹の森』



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 この森に一匹の蛇が住んでいました。



 蛇はとても食いしん坊でこの森にあるものはみんな大好物。



 ある日、蛇は気持ちよくお昼寝をしていました。美味しいものを沢山食べるという、蛇にとっては何より幸せな夢をみながら。



 そこに、歌上手のコマドリがやってきました。

コマドリはとても焦っていて何かに追われているようでした。

すると茂みの中から勢いよく暴れん坊のアライグマがコマドリに襲いかかってきました。

 


 コマドリとアライグマはラップ勝負をし、お互いをディスりあっているうちにヒートアップしていきました。そしてついに短気なアライグマが本気になってしまったことが事の始まりです。

 顔を真っ赤にしたアライグマはコマドリを捕まえようとします。コマドリは捕まったら川で洗われ、シワになるような干され方をされてしまう。と思い、木の根っこに思い切り爪を立てて引っ張られないよう抵抗しました。



 しかし周りに木がないのに果たして自分は何に捕まっているのだろう。コマドリは疑問を持ちます。

一体これはなんの根っこだろう。ここでコマドリの意識は途切れました。

 

 

 コマドリが爪をたてていたのは蛇でした。蛇は美味しいものを食べる夢をみていた最中に体に突き立てられた痛みで起きてしまいました。しかし蛇はまだ寝ぼけていました。そのままコマドリを餌だと思い、丸飲みしてしまったのです。



 それを見て慌てて正気に戻ったアライグマは蛇の口の中からコマドリを救おうと手を突っ込みましたが、蛇は吐くことはなく、それどころかアライグマをも飲みこんでしまいました。


 数分後、ラップバトルの観客なのでしょうか。いたずら好きのリスとお人好しな狐、怖がりな熊がやってきました。リス達はコマドリ達を探しに来ましたがいるのは太った蛇だけ。しかしリスは蛇の周りにコマドリの羽が落ちていることに気がつきました。何かが争った後です。蛇の鱗には鳥の爪が刺さっていた跡がありました。それにあの腹の部分的に太った様子。リスはあの二匹が蛇に食われたのだと思いました。



 リスはこの事を狐と熊に伝えました。狐は冷静に、食べられた二匹の仇をとろうと提案をしました。リスはそれはいいと思い、嘘をつくものを捕まえると根っこがある根っこ広場で蛇を閉じ込めようと言いました。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 蛇は目を覚ましました。しかしなぜだか起きたところは根っこ広場の真ん中でいつもの蛇の寝床ではありません。そしてリス、狐、熊の三匹に囲まれていました。何が起きているのか分かりません。

 リスは、なぜあいつらを食べたのかと、蛇に訪ねます。けれども蛇にはなんのことだかさっぱり分かりません。それもそのはず。寝ぼけていたのだから記憶にないのです。知らないと蛇は答えます。広場の根っこに反応はありません。蛇の心は嘘をついていないので縛られることはありませんでした。


 嘘をつくな。



 嘘じゃない。



 嘘をつくな、見ていたんだぞ!



 いたずら好きのリスはあまのじゃく。見ていないのに蛇に認めさせたいがあまり、嘘をついてしまいました。嘘をつく者に根っこは反応します。根っこはリスを捕らえ、締め付けますが、リスのような体の小さな動物にとってはその力は強すぎてリスは死んでしまいました。



 死んでしまったリスをみて怖がりの熊は驚き逃げてしまいました。慌てて逃げて我を失い、オンボロな橋を渡りさらに遠くへ逃げようとしますが彼は体の大きな熊。橋は落ちて熊も谷底に落ちて死んでしまいました。



 いつもは冷静でお人好しな狐は怒りで我を忘れて蛇に襲いかかります。蛇は逃げようとしますがスピードで狐に勝てません。あっさり捕らえられますが負けじと蛇は持ち前の牙と毒で応戦します。そしてきりもみ状態へ。二匹はそのままの勢いで近くの池に草木をなぎ倒しながら二匹は落ちてしまいました。狐は蛇の毒のせいでうまく足を動かすことができません。そのまま溺れて死んでしまいました。



 蛇も腹の中にコマドリとアライグマがいたためその重さで沈んでいきました。この池はドングリ池といいドングリを投げ入れ願いを言うと叶うといわをれている神の住まう池。二匹と一緒に落ちてきたドングリが煌めき揺れます。薄れていく意識のなか蛇は祈りました。生きたい。生きたいと。



 冤罪、間接的、正当防衛といえど複数の命を蛇が殺したのは事実。池の神は悩みました。生き返らせるべきか否か。その考えは揺れに揺れました。その心模様は虹にも現れています。神の意思は虹の姿。空の虹は幾度なく揺れます。しかし最後には心が決まったかのように虹がぐるっと逆さになりました。



 その逆さになった虹からこの森のことを



 『逆さ虹の森』



 と、呼ぶようになりました。





 



 

 

 

 最後まで読んでいただきありがとうございます。結局蛇はどうなったかは神が決めます。神というのは第三者のことで、読者の皆様を表しています。蛇を生き返らせるべきでしょうか?それとも見殺しにするべきでしょうか?あなたが裁判官です。是非感想を送ってくれればとても嬉しいです。

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