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すべての愛に花束を  作者: 雪鶴
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60年回ってもう一度恋をした少女の話

7歳の少年に育てられた一輪の白い花。

元々雑草の中に咲いていたその花は、初めて人から愛をもらった。

少年はとても大切に育ててくれた。

ある時一輪だと悲しいだろうと考えた少年は、色とりどりの花束を作り花瓶に挿してくれた。

そのおかげで周りが一段と華やかになった。

花は、少年と共に暮らしている時間がとても幸せで、

一生続けばいいと思った。

しかし、時が経つと枯れるという運命からは逃れられない。

少年に恋をした花は、その想いを告げられないまま月明かりに照らされ枯れていった。

枯れてしまったその日の朝。

少年が涙を流したのを花は忘れなかった。

そして、花は最後に願った。


『次は人間になって 彼と会いたい』



少年は立派な大人になった。

結婚をして子どもも生まれ、幸せな家庭を築いた。

しかし妻が病で倒れ60歳という若さで亡くなった。

子どもも巣立ち、家に1人住む彼は寂しさを覚えた。

そんな彼は庭先に花を見つけた。

それは昔育てたあの白い花にそっくりだった。

彼は想い出に浸ると、その花を育てることに決めた。

枯れることはもちろん分かってはいたが、

「精一杯育てよう」

そう考えた。


《12月23日》

彼は花屋に出かけた。

昔のように花瓶に花を増やそうと思ったからだ。

そして出かけた花屋で花を見ていると、花屋の娘から声をかけられた。

「いらっしゃいませ、こんにちは。」

「こんにちは。花束を買いに来たのですが…」

「どのような花束をご希望ですか?」

「そうですね…一輪の白い花と共に花瓶に挿した時

気分がとても明るくなる【色とりどりの花束】を」



その言葉にハナは懐かしい何かを感じた。

そして、その忘れていた大切な何かをハナは思い出した。

溢れんばかりの想いを、懐かしさと共に思い出した。

時を超え、大切な記憶を思い出した。

そしてハナは彼の言葉の意味を理解する。

きっと彼の言う花束は、あの時のような素敵な花束だろう。

ハナは笑顔で彼に言った。

「かしこまりました」



彼はその少女の笑顔にどこか懐かしさを覚えた。

初めて出会った少女に不思議な気持ちが芽生えた。

なぜだか少女を見ていると、心が暖かくなる気がした。

そう。

あの花を育てていた頃のように。



《10年後》

時が経ち、目を瞑る彼の前にハナは立っていた。

静かに眠る彼はとても綺麗だった。

ハナは最期の別れに涙を流しながら精一杯の愛を伝えた。


「ありがとう」


そして、ハナは彼の親族として出席していた大人びたユウくんに色とりどりの花束を渡した。

「この花束…彼のそばに飾ってほしい。」

「祖父の好きな色とりどりの花束を作って下さりありがとうございます。きっと、ハナさんの想い、届くと思います。」

「ありがとう、ユウくん。」

「ハナ、そろそろ帰るぞ。」

「うん。それじゃあ、よろしくね。」

「はい。本当にありがとうございました。」

ハナは深々と頭を下げるユウに背を向けると、レイの元へ向かいながら彼との記憶を思い出し涙した。

はじめまして、雪鶴と申します。

このお話を最後まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。

初投稿作品ということで拙い文章だと思いますが、今後時間をかけながらも良い作品を作っていきたいと思います。

このお話が皆様に気に入って頂ける作品の1つになったら嬉しいです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

これからもよろしくお願いします。

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