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小さな命から学ぶ事。
現代は死の様相が隠された時代だと聞きます。
「酷薄」な描写はちゃんと記していこうと思います。
実家の愛犬が亡くなろうとしている。
死にたくない、といった叫びが聞こえる。
そういえば、癌でステージ4までいっていた友人も、
死にたくない、ずっと生きていたい、といった強い叫びを亡くなる二週間程前に、
強く発していた。
愛犬は老衰の為に立てずに、床ずれも起こして、
全身の皮膚が剥がれて、骨が剥き出しになっている箇所もある。
……痛ましい。
命と、死の剥き出しの姿だ。
愛犬は家から逃げ出して、何度も保健所の世話になった。
行方不明で犬では這いあがれない川の下で三日程、生きていた事もあった。
今回もこれくらい衰弱すれば、普通、二週間で亡くなる筈が、一か月も生きている。
生への執念が凄まじい。
犬なら90を超える16歳らしい。
11月まで生きていれば、今年で17歳になる。
91才で亡くなった祖父も、死の間際に、口から黒い血痰を吐き散らしながらも、残された家族を励まし続けた。
犬も人も愛情で生きているのだろう。
家族みなから愛された愛犬は、大往生しそうだ。




