シロ
道端で泣いている女の子がいる。
声をかけるべきか悩んだか、声をかけてみることにした。
「どうしたの?」
すると女の子はこちらを見て言った。
「シロの元気がないの」
「シロ?」
「お家で飼えないから、そこの倉庫で飼っているの」
犬か猫だろうか?
「どんな状態なの?」
「元気がなくて、全然動かないの」
「病院に連れて行ってみたら?」
「お金がないの」
まあ小学生くらいの子だし、お小遣いじゃ厳しいかと思った。
「それじゃ、僕が様子を見に行ってもいい?」
そう言うと、女の子は嬉しそうな顔をした。
「いいの?ありがとう」
「じゃあ、案内してもらえる?」
そう言うと、女の子は僕の手を引いて、速足で駆け出した。
手を引かれるまま、ついていくと、古びた倉庫にたどり着いた。
シャッターを開け、中に入るが、猫や犬の類は見当たらない。
「どこにいるの?」
そう聞くと。
「そっちに穴があるでしょう?」
と女の子が言ったので、のぞき込もうとした。
その時、女の子は僕の背中を押した。
穴の中には見たことも無い化け物がいて、大きく口を広げていた。
「ありがとう、優しいお兄ちゃん。良かったね、シロ。久しぶりの食事だよ」
そう言って、女の子はシャッターを閉じた。