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短編集  作者: 近藤匠
11/60

殺し屋

両親が殺された。

相手はわかっていた。

両親がお金持ちだったので事件はもみ消された。

だが、私はどうしても許せなかった。


そんな時、ふと噂で依頼を何でも完遂する殺し屋の話を聞いた。

お金さえ払えば善悪問わず、頼んだことは可能な限り何でもしてくれるという。

私は有り金全てを支払う覚悟で殺し屋とコンタクトを取った。

両親の死は事故として処理されたので、お金はあった。

殺し屋も私の所持金で相手を殺してくれると言った。


相手も分かっていたので、そこからはスムーズに事が運んだ。

殺し屋が相手を拉致し、誰もいない倉庫で私はようやく、両親の仇と面会した。

「なんなんだてめえら。俺が誰だかわかってんのか?」と両親の仇は怒鳴っていた。

「わかっています。あなたは私の両親を殺した人です」

「あ?てめえ誰だよ」

「あなたが先日殺して、事故として処理した、武田の娘です」

「何言ってんだ?あれは事故だったんだろう?」

そう両親の仇が言うと殺し屋が。

「そうですか。では、あなたも事故で死んでもらいましょう」

と言ってカバンを取り出した。そして。

「どう事故で死んでもらいますか?」

と私に訊いてきた。


そこでふと思った。

私は復讐の念に駆られて、この人を殺したいと思っていた。

しかし、殺したところで両親は帰ってこない。

どころか、私もこいつと同類の人殺しになるんだ。

そう思うと、何をしているんだろうと思った。

きっと両親もこんなことを望んでいない。


「すみません、殺し屋さん。依頼の変更をお願いしてもいいですか?」

「大丈夫ですよ。ものによっては追加料金を頂きます」

「では、もう殺さなくて大丈夫です。私はこいつと同類になりたくはない。殺したって、両親は帰ってこない」

「かしこまりました。依頼とあらばそのように」

そういって殺し屋はカバンをしまった。

「では依頼は完遂と言うことでよろしいですね?」

「はい」

「ではこれにて失礼します」

そういうやり取りをしていると、両親の仇はこう言った。


「おい、殺し屋。金さえ払えば何でもやってくれるんだよな?」

すると殺し屋は「はい」と答えた。

「俺の家は金はある。そこの女を殺して俺を解放しろ。」

「200万支払っていただけるのなら」

「それくらい余裕だ」

「かしこまりました」

そう言って殺し屋はこちらを見た。


「待ってください!冗談ですよね?」

そう私が言うが、殺し屋は真剣なまなざしで。

「あなたとの契約は完了しました。私はお金さえいただければ、善悪問わず、依頼を完遂するのみです」

そう言って殺し屋さんは私を殺した。

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