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女子高生カグラのラグナロク戦記~日本編  作者: 七海玲也
第一章 プロローグ
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知識の能力者

 駅を出ると、リアークの関係者である藤凱友姫(とうがいゆき)と名乗る女性が待っていた。

 彼女の運転する車に揺られ、私は未だ知らされていない目的地へ向かっている。


「列島の最北県に来たのに、まだ移動するのね」


「長旅になると言っていたでしょ。

 ここからも結構離れていますからね。

 安全運転でお願いしますよ、友姫さん」


「ええ、もちろん。

 大事なお客様に何かあってはいけないですから。

 私だって心得ていますよ。

 ところで神楽さん。

 どうですか?

 都会と違って田舎も良いものでしょ?」


 バックミラー越しに目が合うと、ポニーテールに結んだ髪を揺らし、何とも心地よく優しい口調で話かけてきた。


「そうですね。

 空気が違うし、景色も遠くまで見えて異世界にいるみたいだわ」


「私も気に入ってるのよ、ここの土地は。

 出来ることなら、ずっと暮らしていたわ」


 中心部から離れると高い建物もさほどなく、平地なのに見晴らしが良く田畑や山がずっと見えている。


「こっちの人じゃないんですね」


「ええ、私も神楽さんと同じ東城都出身ですから。

 リアークに所属して今の任務を与えられるまでは、各地を転々としていましたし」


「彼女もディバイナーで、知識の能力を宿していましてね。

 表立って行動すると、世界でも指折りの天才と言われる程ですよ」


「やめて下さいよ、巧斗さん。

 褒めても出るのはお菓子くらいですよ。

 正直、私にそこまでの能力はありませんし」


 神々の戦争など聞いていた割には極々普通の会話にしか聞こえず、何となく落ち着き自然と笑顔になってしまう。


「そんな能力もあるんですね。

 友姫さんって美人だし、頭も良いならモテそうですよね」


「そんなことないわよ。

 現にお付き合いなんてしてないし、誰も寄ってこないから。

 なんだったら、美味しいスイーツの方がありがたいわ。

 私を誘ってくれるもの」


 美人過ぎて頭が良いと男は寄ってこないという定説は嘘ではなく、本当にそうなのかも知れないと思わせる程の説得力があった。


「友姫さんは近寄り難い雰囲気を出す時がありますからね。

 物腰が柔らかいのに、目が笑ってないというか」


「何か言いましたか?

 巧斗、さん」


 確かに声や態度は変わってないのに、威圧感が伝わってくるというか、怒りのオーラが滲み出ているのが見える様だ。


「ね、ねぇ友姫さん。

 これから私をどこに連れて行くんですか?」


「あら?

 ホントに何も聞いてないのね。

 大自然の真っ只中よ。

 世界遺産でもある山の中。

 行ってみたら、凄く好きになると思うわ」


 世界遺産……?


「山の中に遺跡でもあるんですか?」


「えっ?

 知らないの!?

 ちゃんと勉強しなきゃ駄目ですよ、神楽さん。

 山脈と違って幾つかの山がある場所の事を山地って言うんだけど、山地が世界遺産に登録されていてブナの原生林が沢山あるのよ」



「は、はぁ。

 遺跡もない山の中に行くんですか?」


「なんで遺跡が出てくるの?」


 質問に質問で返され、私の想像している答えを述べるしかなくなり、少し心が曇り始めた。


「んー……私の能力を調べるって言われて先ず思い浮かぶのが、神秘的(オカルトチック)な儀式だから。

 そういうのって、遺跡とかでやるじゃないですか」


 車内は爆笑の渦に包まれた。

 絶対に可笑しな事は言ってないし、まして笑いを取りにいったわけでもない。

 私の頭の中にはハテナが幾つも浮かび上がった。


「ふふふふふ。

 神楽さん。

 それは時代錯誤ですよ。

 私達が向かっているのは、遺跡でもなければ洞窟でもないですよ。

 ……学校ですから」


「は?

 学校!?」


 私の驚きに二人は声に出さず、軽く頷いただけだった。

 そして、思い浮かべたのは林間学校だったのは言うまでもなかった。

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