そんなのありか07
コンテスト用のカレーを親会社を含めた重役達が完食。
大林 真様も食べ終わり…一同を見回した後でコメントを、な。
「この度は、私の為に席を儲けて頂いたようで恐縮です。
まさか、私の運営しているサイト掲示板へ書き込まれたカレーを作ったのか此処の関係者とは…
どうやら御迷惑となったようで、申し訳有りませんなぁ。
ただ…掲示板に書き込まれた内容には偽りが無いことが確認できました。
此方の方は私の方にて対処いたしましょう。
ですが…このクラスのカレーを素人コンテストに出すのは如何かと?
プロレベルと言っても過言では無いのでは?」
そのように…ってね絶賛じゃねぇかぁっ!
そんな大林様へグランシェフ坂崎氏が告げる。
「この度、このカレーの考案者である矢鷹氏の調理補助を勤めました当ホテル総料理長を務めます坂崎と申します。
矢鷹氏のコンテスト用カレーを元に当ホテルにて研鑽したカレーをご賞味頂き、食べて頂いたカレーがコンテスト用であることを認識して頂ければ、っと考えております」
不意に告げられた言葉に一同が戸惑うが…間髪入れずに究極至高のカレーが一同皆々様の前へと配膳されて行く。
ぅおっほぉうっ!俺にも配膳されやしたぜぇぃっ!
少し味見ばしやしたが…ほんのちょびっとだったかんよぉぅい。
ありぁっ美味かったぜぇぃ。
ただよぉぃ、少量だったんで…逆に食いたくて食いたくてよぉぃ。
そんな葛藤を覚えていた俺にも配膳されるたぁ、気が利いているじゃねぇぃけぇっ!
配膳され…上座の方々が手を付けるのを待つ。
流石に下座の者が勝手に手を付けるのは御法度ってな。
先ずは大林様が、な。
次に本社の会長、社長、役員っとな。
我が社の社長や役員が手を付け、部長と俺は、それを見定めてからってな。
いや、な…この究極至高なカレー様はなぁっ、実に、実にだっ、芳醇な芳香を醸し出しておられる訳でぇ…
くぅぅぅっ、お預け…キツかったっすぅ。
ようやく食べれることとなり、スプーンにて掬い口へと。
こんなにワクワクしながら飯を食う、なんてぇのはぁっ、何時以来だろーねぇぃ。
口へと掬ったカレーを運ぶ際に放香が鼻腔を擽りまくってくださいやす。
んでぇよぉぃ、これを口内へと…うっわぁぁっ、なんてフルーティかつスィーティにて上品にて雅な香りと爽やかな甘さが…
口の中が花畑…花園?雅な桃源郷と…そこへ、肉、魚介、野菜、乾物などなどの旨味が凝縮したエキスが侵攻して来やがった。
ただ…花園を踏み荒らす暴力的な侵攻ではなく…その花園に溶け込み昇華するが如く…
旨味の奔流に弄ばれるが如く味わっていると…辛味だけでは無い複雑なスパイーな味と香りが…
いや、加えられた酒の酒香など、様々な味と香りも後追いにて。
スパイスと溶け合い引き立てながら口内を走り回る。
旨味と様々な味、香りの共演が口内にて。
あれ、だ、なっ、俺が作ったカレーなんざぁ、このカレーに比べれば…
ま、まぁ…俺も手伝ったことは手伝ったんだがよぉぃ。
あれは、指示された通りに作業したに過ぎねぇかんねぇぃ。
味わって旨味と香りを楽しみながらジックリと食べているつもり、そう…つもり、だった。
気が付いたら…空の皿をスプーンで掬って食べて、いた…って、えっ?
どうなってんでぇぃっ!
これが本当のエアー食いってか?やかましいわっ!
ってもな、俺以外の方々も、同じ様になってたかんよぉぃ。
これは…このカレーに魅せられ過ぎたっうヤツか?
究極至高っぅか…ちとね、ヤバ系な料理っう感じ、か?
食べ終え、茶を啜りつつ陶然とした一時を思い耽りつつ痺れるほどの感覚を解かしていく…
そして、大林様がポツリっとつげた。
「これは…凄いねぇ。
流石に、これ程の味には出会ったことがなかったよ。
確かに、この味と比べたら…先程のカレーは素人料理と言わざるを得ないだろうね。
だが…比較する味のレベルが高過ぎる気もするが…ね」
そう告げて苦笑いする大林様。
取り敢えずは満足して頂けたようである。
この度の騒動は、これで終わりって考えて良い…の、かな?
俺が、そう考えていると…我のクライアントが協賛しているテレビ局にて行なわれる素人のカレーコンクールへ、俺のカレーにて参加することに決定。
って…あ゛っ!忘れて…たっ。
大林様へカレーを提供することばかり気にしてたぜぇぃっ!
カレーコンテストは来月に行なわれそうな。
一応は審査があり、応募するカレーを提出して参加の是非を問われることとなるそうな。
俺のカレーは、このホテルにて作ったコンテスト用のカレーをレトルトパッケージ化されてテレビ局へ送られることに。
当日は制限時間内に会場にてカレーを作ることとなる訳だが…事前調理が必要な場合は準備して良いとのこと。
ただし、その内容をビデオに収めて、あらかじめテレビ局に送らる必要があるのだとか。
なので、出汁作りのシーンをビデオに収める作業がな。
マジでぇ、面倒くっせぇっ!