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そんなのありか06

それからグランシェフ坂崎氏と材料調達ってぇなった訳だが…途中で同行者が増えることにな。


() 挧蘭(うーらん)と言う女性料理人…っか、厨師っうんだったか?


なんでも中国には佛跳牆(ファッティウチョン)なるスープが存在するらしい。


知られているだけでも…干しアワビ、干し貝柱、フカヒレ、サメの尾ヒレの付け根部分(魚唇)、魚の皮、魚の浮き袋、白子、干し海老、するめ、金華火腿などの中華ハム、干しナマコ、干しシイタケ、鳩の卵、豚の筋、豚ヒレ肉、鶏胸肉、アヒル肉、朝鮮人参、干し竜眼、枸杞子、紹興酒、オイスターソースなどなどを壺に入れ、数時間~1日程度の間にて煮込み材料からエキスを煮出す料理なのだとか。


………くぅぅっ!うっま、そぉうっ‼


でぇ、だぁっ、そんな佛跳牆の技法とコンソメスープの技法などなどを統合したスープ作成に適した食材を仕入れ、新たなる技法を付け足しながら下地の出汁をな。


つっかよぉい…そんな贅沢して…良いんかい?

っかさぁ、素人コンテストへ応募するための料理に対して過剰、明らかに遣り過ぎである。

それに対しては坂崎氏も気付いており、ランクを落とした食材も同時に仕入れていた。

うむ、此方の食材ならば、俺でも購入できるレベルだろう。

いや…一般的な家庭レベルかと言われれば…、なぁ…


ま、そんな感じで仕入れを行いホテルへと戻る。

そして貸し出された厨房へと。


調理補助の料理人も更に加わりつつ…数時間掛けて数種類のスープをプロの技法にて作り出した訳で…


ぅう、わぁ~ぁっ…なんじゃぁっ、この芳醇な芳香わぁ…っ…

様々に薫り立つ各種スープをブレンドしつつティスティングしつつ、ブレンドの組み合わせを決める。

そして決まった組み合わせにて基礎スープが完成。

究極にて至高たるスープと、コンテスト用の二種類だが…うん、天と地の差って言って良くね?これ?


究極至高スープに具材が足され、味付けが施される。

スパイスも調理人達に教わりながら調合して投入。

黄金色な究極至高カレーが出来上がったのである。


コンテスト用のカレー?

あちらは、ほれ、ホテル調理人が作り出したカレールーと、俺様流味付けを改善した感じで仕上げやした。


いや、なぁ…俺が自宅にて作成したカレーよりは、遥かに美味い代物となってはいるが…究極至高たるカレーと比べると…、なぁ。


しかし…料理バカ達は遣り遂げた感じで満足そうである。

このカレーを寸胴ごと保管庫へと。

明日…いや、今日にも役員会にて提供っう訳だ。


現在は午前4時前…

まさか、ブッ通しにて調理し続ける嵌めになるとは、なっ。


まぁ、彼等的には全力で気が済むまで調理できて満足そうだが…付き合わされる俺は参ったぜぇい。


調理を終えた俺は、寝不足にてフラ付きながらホテルの部屋へと戻る。

取り敢えず、役員会が始まる正午近くまでは寝れる筈だ。


本来の役員会は数日後となっていたのだが…グランシェフ坂崎氏より本日へと変更依頼がな。


料理を最高の状態にて提供したいとのこと。

このぉう、料理バカ目がっ!


お陰で徹夜擬きにな。

っか…この度の騒ぎで、休日返上の上で徹夜続きだった訳で…

流石に限界っすわ!


部屋へと戻りベッドへと。

即座に眠りに付きやした。


アラームが眠りを妨げ、仕方なく身を起こす。

シャワーを浴びて目を覚まし、鬚などをあたり身支度を整えた。

ビシッとスーツを身に纏い臨戦態勢へと。

平の身で役員会へ参加って…うぅっ、胃が痛いぜぇっ。

取り敢えずは部屋を出てホテルのラウンジへと移動する。

そこには部長が既に来ていた。


本来は直接的な接点の低い上位上司である訳だが…この場では身内と言って良いだろう。


「おっ、矢鷹。

 ご苦労だったなぁ」

部長もこの度の件で随分とフランクになったものだ。

そんな部長と共に役員会が行われる部屋へとな。


末席へと目立たないように収まり時を待つ。

やがて当然のように役員会は始まる訳で…


部長が司会進行しつつ話が進み…


「では、コンテストへと応募予定となっているカレーを食べて頂きたいと存じます」

そう部長が告げると、コンテスト用に仕上げたカレーが配膳される。


「ほっ、ほぉ~ぅ。

 これは…随分と香り高いですなぁ」

役員の1人が関心したように、な。


(くだん)大林(おおばやし) (しん)様も興味深げにカレーを見詰めた後で1匙掬い食す。


掲示板騒ぎにて味の概要を知っていたからだろう、ジックリと味わいつつ食している。


役員の内、何人かは甘い味に戸惑い不機嫌に。

だが、それも続いて口内へと襲い掛かるように溢れ出す旨味の本流に翻弄され…続いて表れた刺激的かつ爽やかで豊かな芳香を纏うスパイシーな辛さに悪感情は押し流され…いや、違うか…既にカレーの旨味に支配されるか如く…うん、カレーの虜やね。


いや、さぁ、うん、別にヤバい物は入って無いんだが…なんだか…ヤバげなんっが、大丈夫っすかぁっ、これぇっ!

これから後、究極にて至高たるカレーも提供される訳だが…俺には既に、どうなるのか想像もできやせんぜぇいっ‼

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