そんなのありか32
会談は秘密裏にぃってねぇい。
彼方さんが此方へって訳にはよぉうぃっ、騒ぎんならぁなぁっ。
っうこってぇ、俺の方から先方様ん所へ出向くことによぉうぃ。
佐久間氏が手配したハイヤーにて出迎えに、ねぇい。
現地で大林様と落ち合う予定っとなってらぁなぁっ。
高速を使い…此処、けぇい?………途中で粗末なビルへって、マジでぇ?
車を降りてビルん中へって…廊下から部屋へ入るとぉ、別の部屋へと繋がってるドアから別の部屋へ。
そっから地下室へ降りてぇ…なんぞぉ、この通路?
そん通路を抜けたら部屋へってねぇ。
んでぇ、部屋から出るとぉ…地下駐車場?どう言うこってぇいっ、こりゃぁっよぉうぃっ。
「尾行対策ですよ。
既に何組かのパパラッチに張られてやしたからねぇぃ。
ま、予め準備した甲斐があったてぇもんでっさぁ」って、ニンマリってなぁっ。
パパラッチ、ねぇい…
「でもよぉうぃ、なんでぇウチの店なんかを張ってんでぇい?」っと、不思議に思ってねぇい。
「旦那ぁ…マジで言ってやすかぁっ、それ…」って、佐久間氏が呆れる訳だが…はて?
「マジも何もねぇいっ、ウチは大衆レストランだかんねぇい」いや、訳が分からんって…本当によぉうぃ。
すると佐久間氏が溜息を吐いて告げなさるってなぁっ。
「何処が大衆レストランなんでやす?
ま、確かに千円の値段は少々お高いっても、確かに庶民が手を出せるレベルでやすが…どう考えても大衆向けの味を超えてやすぜぇ。
しかも、そん効能ってぇヤツがベラボウじゃあありやせんか」ってさ。
ってもよぉうぃ…
「いやいや、俺…まだよぉう、その変な効能ってかぁ?信じてねぇかんよぉうぃ」
食い物を食って病が治るってアータっそら夢物語ってねぇい、有り得んっしょっ!
俺が告げるとぉ、佐久間氏は益々呆れ顔ってなぁ。
「この後に及んで、まだぁ、そんなことを言ってるんでやすかぁっ?」って、なっ。
いや…この後もその後も関係無ぇわさっ、そんな理不尽で非科学的な現象…誰が信じるってんでぇいっ!
「いや、旦那も頑固やねぇぃっ」
呆れるなら呆れやがれっ!
そんな話をしながらよぉうぃ、回された車へと乗り移動ってなぁっ。
今度は目立たない一般車ってぇヤツだがよぉう、スモークガラスてぇのにはなってだねぇい。
地下駐車場から車が出て移動。
対談予定ホテルの地下駐車場へと車が滑り込み、俺と佐久間氏は下車ってねぇい。
ホテルへと入り佐久間氏の案内にて通された部屋へと。
この部屋は大林様と待ち合わせ、対談する部屋へと赴く為の準備を行なう為に用意された部屋だってよぉうぃ。
部屋には既に大林様が来られて色々な資料を確認されてたぜぇい。
仕事に追い回されてんのかねぇい。
っと思ったら…対談予定となっているお2人に対するプロフィール関連の資料だったぜぇい。
俺も少々失敬して読まさせて頂いてぇっとくらぁっ。
って…読まない方が良かったかも…ねぇい…
菟慈 濫茄老子。
中国武術連盟の重鎮にて気功法の達人。
流派を超えて人材を集め、各流派を尊重した人材育成を進める機関を設立。
それにより廃れつつあった流派の保護かつ躍進へと繋げ、武術界の隆盛を促進した人物。
既に後進へと身を譲り引退の身ではあるが、その人望厚く武術界への影響力が高い。
チャルダット・ギャツォ大僧正。
チベット仏教の高僧にてヨガの伝道師として名高い人物。
各国の著名人にも彼の流派を習う者が多いらしい。
ヨガによるプラーナの高まりについて説き、その教えにて健康を取り戻したと話す者も居るのだとか。
政治的にも影響力を及ぼす力を持っており、政府関係者も慎重に取り扱うVIPである。
って…読んでる間によぉうっ、俺ぁ血の気が、ねぇいっ…いやぁっ、冷や汗も掻くってばよぉうぃ。
何で一般庶民の俺がぁっ、こんな方々と対談?
大林様、お一人ってぇのは…ダメです、よ、ねぇぃ…あ、ヤッパしぃ?
覚悟を決め…れない、俺を促しての移動となりやしたぁっ。
今回は大林様の秘書は此処で待機ってねぇいっ…ホッとしてやがるぅっ、羨ましいぜぇいっ!代わらねぇっ?
うや、ダメですかい、そう、でぇっすかい…矢張りぃダメぇ?
「旦那ぁ…往生際が悪いですぜぇっ」ってぇっ、煩いわっ!
そんな感じでドナドナされつつ部屋を移動ってなぁ。
廊下がヤケに長く感じやがるってぇっ!同じ階けぇっ!
ドアが開かれ…和やかな雰囲気の部屋へと…って、あんるぅえっ?
好々爺ってぇ感じの老人が2人ほど部屋のソファーへと鎮座されておられやす。
護衛って感じのシ○ワちゃんみてぇな、ゴッツイヤツらとぉ…武人っう感じのヤツらが、ねぇいっ。
「遠路遥々(えんろはるばる)ようこそ。
私、大林と申します。
よしなに宜しく御願い申し上げます」って、大林様が、そつなく挨拶ってな。
「ようこそ日本へ、っても何度も来られてやすから今更でしょうがねぇぃ。
今日は、アッシの申し入れを快く受け入れて頂き、真に有難うごぜぇやす。
隣に居るのが、お話しやした矢鷹ってヤツでしてぇ…」っと、佐久間氏が話しているとぉ…お2人が仰天しようにソファーから立ち上がる。
いや、佐久間氏ぃぃぃっ!無礼な喋り方すっからよぉうぃっ、怒られたんじぁっ!
って思ってるとぉ…
「なト、凄い気、アルね」
「迸る程、プラーナなるや、素晴らしい」
なんて言いながら2人が俺の方へと…い、いや…どうなってんでぇいっ!




