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そんなのありか29

調理方法の試行錯誤が始まり1週間が過ぎ去る頃にねぇいっ、(ようや)く佐久間氏から大林様へ連絡が、よぉうぃ。

どうやら厨房へと機材を持ち込み撮影などを…ってぇ、えっ?

俺を撮影するってぇかぁっ?


いや…確かに素人カレーコンテストってぇヤツでねぇい、テレビに出たことはあっけどさぁっ…あまり撮影などは、ねぇい。

ってもよぉうぃ、俺には拒否権なんぞ、()ぇんだがよぉぅいっ。


連絡があった翌日…佐久間氏がスタッフを連れて店にねぇい。

ってもよぉうぃ、表は客で一杯ってかぁっ。

当然、裏口から入って来るってぇすんぽうさね。


っか…それでも取材スタッフが裏口から入るてぇのは目立つようでねぇい、他雑誌や新聞のブン屋にテレビ局の報道員なんてぇのとぉ、一悶着あったってねぇいっ。

そら、アータァ、ホール側の取材は受付てぇがぁよぉう、厨房側へ取材陣が入るのは初ってヤツだかんねぇい。

仕方あんめぇいよぉうぃ。

っか、ねぇい…マスコミってぇのは執拗い人種だねぇい。

取材拒否ってもよぉうぃ、諦めずに押し入る輩もなぁっ。

ま、不当侵入って警備員が捕縛して警察へ突き出してるって…阿呆、なのかぁっ?


ま、そんな状況で厨房へ招き入れられた取材スタッフ達な訳でぇ、非常に目立ちながら来た訳さね。

な、もんでぇ、えらく緊張してっねぇい。

何台ものカメラとモニター類やら機材やらを持ち込んでは厨房へと設置ってなぁ。

無論、調理の邪魔になるような場所は、ご遠慮願ってぇよぉうぃ。


まぁ…調理に支障が出ねぇ場所へと取材用機材が設置された訳だが…取材って許したのけぇっ?

その点は師匠も気になったようで確認してらぁなぁいっ。


「大林様より協力するように聞いちょるんじゃが…取材許可は、本当に得ちょんじゃろーのぅ」って、さ。

いやぁ…師匠は普通に尋ねているつもりなんだろーけどねぇい、下手なヤーさんも目じゃねぇ、っう程の迫力がある訳でぇ…取材スタッフ達が蒼く、ねぇい。


だが…流石は佐久間氏っていうところか、ねぇい。

ニヤリって笑って師匠に言う訳よぉ、これがぁっ。


「別に取材って訳じゃありやせんぜぇい」ってさ。

いやいや、こんだけのカメラなんぞを持ち込んでかぁっ?

師匠も不信に思ったのだろうねぇい…「ほぉう、取材じゃねぇんかぁい?」っと。


う、わぁ~っ…これがぁ、殺気ってぇ、ヤツ、か・ねぇっ…俺もだがよぉうぃね厨房スタッフまで固まってんよぉうぃ。

気の毒にぃ、取材スタッフ達は真っ白、土気色ってねぇい。

っか…佐久間氏だけは気にもしてねぇようにぃ、ニマニマ顔って…マジぃかぁぁぁっ!


「ええ、取材ってぇヤツじゃ無いですなぁ。

 これらの機材は調査に必要だから持ち込んだだけでさぁ。

 っても…当りは付けてやすがねぇ」ってぇ、ニヤリ。


って、んんっ?当りは付けてるってぇ…マジかぁ?


そしてぇ、機材設置が終わったので撮影がな。

いやぁ、確かに邪魔にはならない場所ではあるがぁよぉうぃ、気が散るってねぇい。

そらよぉうぃ、カメラで撮影されつつ調理ってぇのはねぇい。

いや…俺よりも(わけ)ぇ衆の方が緊張して動きがギコチねぇってなぁ。

確実に作業に影響が出てぇっがぁっ…協力要請が大林様より来てんでぇい、仕方あんめぇいよぉうぃ。


暫くはカメラにて撮影されつつ何時も通りに調理を進めるってねぇい。

なにやら撮影した映像を元にスタッフと話あっている佐久間氏。

っか…気になるんっすがぁっ!

ま、そんな素振りを見せたらよぉうぃ…「バカタレぇっ!作業に集中せんかぁっ!」ってねぇぃ。

し、師匠…おっかねぇいっすぅっ…


そして業務も、いずれは終わる訳でぇ…っても、よぉうぃ…撮影に気が散って作業に遅延が、ねぇい。

お陰様で残業ってなぁっ、クソッ!

ってもなぁ、帰れるのは厨房スタッフ達のみでよぉうっ、俺と師匠はこれから大林様を交えて佐久間氏との対談ってなぁっ。

くぅっ、雇われ者てぇのはぁよぉうぃ、(つれ)ぇねぇいっ。


応接室へと佐久間氏とスタッフの1人が招き入れられ厨房から出て行く。

他のスタッフ達は機材の撤収ってねぇい。


師匠と俺はぁ、その作業の立会いってぇヤツさね。

誰か残って立ち会わねーとぉ、悪さされても気付かねぇかんねぇいっ。


撮影スタッフ全員が撤収してから厨房内を見回る。

無人を確認して施錠して警備システムを稼動ってなぁっ。


セキュリティ会社と契約してっからよぉうぃ、厨房内はセンサー警備中ってぇヤツにねぇい。

侵入なんぞ検知したらよぉうぃ、セキュリティ会社の SEC○M から警備員が飛んで来らぁなぁっ。


警備状態にした後でよぉうぃ、俺と師匠は応接室へとな。

さてぇ…佐久間氏はよぉうぃ、予想が立ってるてぇ言ってたがぁ…何か分かったのかねぇい?


眉唾ってぇ思いつつも期待も、ねぇい。

少しばかりドキドキしつつ応接室のドアを潜り中へと。

既に大林様と秘書の方は来ており、佐久間氏と歓談していたぜぇいっ。


「おお、来たかね」って、大林様がニコヤカに出迎えて下さる。

そして俺と師匠が席へと収まるとぉ、いよいよ佐久間氏からの報告が、ねぇい。


「先ずは、この画像と映像を見て貰いらしょう」って、スタッフへ指示して画像と映像をiPadにて俺達へ見せる。

「な、なんだぁっ!この映像はっ!」って、思わず声を出しちまったぜぇい。

「こん映像…作り(もん)じゃぁねぇんじぁのぅ?」っう師匠はぁギロンヌって佐久間氏を()め付ける。


「嫌だなぁ、本物の画像と映像ですよ。

 ただし、特殊カメラにて撮影したって注釈が付きやすがねぇい」

実に清々しい程の笑顔で、なぁっ。


「ほぉ、矢鷹さんを撮影した結果っと?」

そう大林様が興味深げに尋ね、続ける。

「して、この現象について心当たりでも?」


「そうですなぁ、この矢鷹氏より鍋へと注ぎ込まれているモンですがねぇい。

 確かに心当たりはありやすぜぇ」ってな。

いや、マジかぁぁっ!っかぁっ!俺から鍋へ何かが流れ込んでんだがぁっ、俺にぁ心当たりなんざぁねぇぞぉっ!


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