表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

(3)魅惑

 彼女の姿は真っ黒く光沢のあるラバースーツであった。手足は泥で汚れてはいたが、女性らしい身体を強調するメリハリあるボディであった。胸はわりと大きく多分「中身」はグラマーのようだった。


 「決まっているじゃないのよ! 農作業しているのよ。それと見張りだね! 最近いるのよ人が折角育てた野菜を盗むのが! 柵をしていても入ってくるから嫌になるからね。まあ、電気柵をするのも手だけどね、結構お金がかかるから、こうやって見回っているのよ! 今日は・・・」


 彼女はベラベラ話してくれたけど、分からない事があった。なぜラバーを着なければいけないのかということだ!


 「それは、ご苦労様です。しかし・・・合羽ですかそれがあなたにとっての?」


 ガスマスクの中から笑い声が聞こえてきた。


 「合羽? そうよ、私にとっての合羽よ、このラバーはねえ! それに人格が変わるからよ。こうやって外に出るのが怖くなくなるから! なんか変身したみたいでね。これが私の戦闘服みたいなものよ! 中身はこう見えても気弱な乙女なんだから!」


 そうやって彼女はポーズをとってくれた。そのポーズは魅惑のものだった。異形な格好をしていても女なのよと主張しているようだった。大きな腰を振り、その股間は・・・なんとなくソソラレテしまった。


 「それにしても・・・その服。ラバーのようですが・・・好きなのですか?」


 すると彼女は細い両手をガスマスクの両頬に添えて内緒話をするようなポーズをした。


 「そうよ! 私はラバーフェチなのよ! いつもの私は外に出るのも避けたい気弱な女の子だけど無敵になった気分になるのよ! それに気持ち良いのよ! 直接肌にラバーを纏っているのが!」


 直接肌にラバーを纏っている! そう聞いたときはっきりしたことがあった。彼女を覆うラバーの下はハダカなんだと! その黒いラバーの下は女の子の肉体が直接あるのだと! でも、それはフツーの服でも水着でも一緒だというのになぜラバーだとこんなに動揺しているのかが、よくわからなかった。


「ところであなた。鴨下亮太郎君でしょ! そこの青い平屋の!」


 ラバー女に自分の名前を言われ、さらに動揺してしまった! なんで名前をしっているんだこの女は! こんなことを知っている女といえばご近所さんだけど、そうなると年齢は・・・おばさん?


 「そうだよ、僕は鴨下だ! でもなぜ知っているの? 君は一体誰?」


 そう言った途端、ラバー女は僕にさらに接近してきて僕の顔を見上げるような姿勢になった。その時、ラバーに包まれた胸の膨らみに僕は釘付けになってしまった視線が!


 「忘れているかもしれないけど、私はね条辺佳代よ! 中学時代一緒だった!」


 一瞬僕は誰それ? と考え込んだが脳裏からある記憶が蘇ってきた。しかし、その彼女とラバー女と結びつくことがなかった!


 「君って・・・たしか大人しい娘だった・・・カナッペ?」


 僕は絶句した!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ