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(2)護謨

「すいません、何をされているのですか?」


 僕が声をかけたが激しい雨音のために最初は気づいてくれなかった。それで目の前に見えるように気付いてもらえる位置までいってから声をかけてみると気付いてくれたようで間合いをつめてきた。


 目の前にいるのは「人の形をしたなにか」のようだった。女性らしいボディラインを包み込んでいるのは黒いゴムだった。暗くてよく分からないが真っ黒い人がげのようにも見えた。だが、声をかけたことでその影・・・金属製のなにかのアクセサリーがあるのは辛うじてわかってはいたが・・・が近づいた事ではっきり見えるようになった。なぜなら、そいつが被っているガスマスクの上にはLED照明がついていたからだ。


 その「人の形をしたなにか」の手先は泥に汚れ、ハサミを持っていたがどうもトマトかなんかの作物を選定なんかをしていたようだ。なぜならそこは露地栽培しているトマトの畑だったからだ。でも、なぜ暗いのに農作業なんかをしているのか?


 それはともかく、そのゴム服になんとなく熱いものが自分の中にこみ上げてくるのを感じた。なぜなら魅惑的ともいえる理想的な女性の身体のようだったからだ。


 後で知った事だが、それが着ていたのはラバースーツというもので、ボディに直接張り付くようなものだったという。だから、着ている人間のボディラインに忠実になぞるというものだった。


 胸は大きくウエストは引き締まりはっきりしないがお尻は大きそうだった。手足は細くてしなやかそうであったが、残念なのは顔がガスマスクに覆われているので想像しようもなかった。


 それに分からない事があった。それを着ている人間が本当は男なのかもしれないし、それに女だったとしても年齢が分からないという事だ! 「中身」は美魔女かもしれないし、もしかすると孫がいるような老女かもしれないから・・・


 「あのう・・・お忙しいところすいませんが、農作業するその恰好は・・・どうしてそんな恰好なんですか? それに、その服はなんていうのですか? よろしかったら教えていただけないですか? なんていったらいいんでしょうか?」


 僕はあじゃらもじゃら内容が整理されていない事を聞いてしまった。しかもなんか悪そうな言い方だった。農作業といえば作業着だし、こんな雨の日なら合羽を着てやるもの。ってことは、この人にとっての合羽はまさかゴム服? それにしてもなんて魅惑的なんだろうか。その身体に張り付くようなゴム服は・・・


 こんな変な質問に女かもしれない「人の形をしたなにか」は中々言葉を発しなかった。その時間は永遠にもといったら大げさだけと長い時間が経過したかのようにも思えた。


 この時、こんな妄想をした。こいつは宇宙人か何かで地球の大気に身体が合わないのでゴム服というかラバーの気密服を着ているんだと。その中には人の形はしていても爬虫類のような生物がいるんだと・・・その場合、日本語は理解できないので反応はないんだと。


 しばらくして、そのガスマスクの中から声が聞こえた。


 「この格好をしていて近づいてきたのはあなたが初めてだわ! みんな怖がって近づかないというのにね」


 その声は、アニメ声というほどではないが鈴がなる様な可愛らしい女の子の声だった!

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