ビアンカ
洒落たレストランの個室に、俺は一人の女性をエスコートしていた。
「ダイスケくん、お食事に誘ってくれて、ありがとう」
ビアンカ・ビアス准尉は、温かみを感じさせる象牙のような白い肌に、アクアマリンのような淡い色合いの青い瞳で、ふんわりとした金髪をショートボブにカットしていた。
美人でスタイルがよく、おまけに性格もいい。
俺のお気に入りの同期生だった。
「君が喜んでくれて、俺もうれしいよ」
俺はビアンカの淡いブルーの瞳を見つめた。
部屋には店員の姿はなく俺たち二人きりだった。
「私、ダイスケくんに会えなくて、とても寂しかった」
ビアンカもうるんだ瞳で俺のことを見つめた。
視線が絡まり、俺は彼女を抱きしめたい衝動にかられた。
「俺もだよ」
俺はできるだけ優しい声を出すと、彼女の肩に手を置いた。
「ウソ。きっと、あなたは他の誰かと仲良くしてたんでしょ」
ビアンカは拗ねるように身をよじると、肩に置いた俺の手をはずした。
最近、リサさんと親しげに話したりしてるが、あれもビアンカから見ればアウトなんだろうか?
「おい、君らしくない。拗ねるなよ。俺は君のことしか考えていなかったさ」
俺はビアンカの肩に軽く手を添えると、必死で言い募った。
「嘘でも、うれしいわ……」
ビアンカは伏し目がちにゆっくりとこちらに身体を向けた。
「……ねえ、キスして」
そして恥ずかしそうに静かに目を閉じると、小さな顎を少しだけ上にあげ、しっとりした唇をこちらに向けた。
「本当に夢みたいだ」
俺は彼女の肩を抱くと引き寄せた。
彼女はふわりと俺の胸の中に入ってきた。