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神様は大変

神様のところへ社会科見学

作者: 海月 くらげ

どうも。ワシは神様じゃ。

仕事は、なんと言えば良いのかよく分からんが、死んだ人間に来世を選ばせる…みたいな事じゃ。

しかもな、ちゃんと来世を考えてもらうために全員に、宝くじが当たるかのような確率で来世選択権利が与えられたのじゃ、って言わなきゃならんのじゃよ。人間を騙してる様な形なので少々気が引けるんじゃ。

ワシはなかなかのブラック企業で働いとる様じゃ。大変な割に給料が少ないのがその証拠。

ワシの仕事っぷり、見てみるかの?社会科見学じゃな。


今回の相手は、76歳で病死したお婆さんじゃ。

急に倒れて病院に運ばれたが、間も無くして亡くなったらしいのじゃ。あれ?それじゃあ急死ではないのかえ?歳をとってくるとよう分からんわい。

まぁ早速取り掛かるとしようかの。


「さて、お主は死んだわけじゃが。」

イキナリそう言ったにも関わらず冷静な顔しておるの、このお婆さん。

「お主には来世を選べる権利が当選した!」

困惑くらいしてもいいはずなのにお婆さんは涼しいお顔なことで。ワシは少し不満じゃ。もうちょっと驚いてもいいのに。

「それはどういう意味ですか?」

お婆さんが聞いてきた。

その質問はいつもの事じゃ。

ワシはいつもの様に説明してやった。

「つまり、お主は次の人生を選べるのじゃ。人間を選べると言ってもいい。過去の偉人にだってなれるし、未来に生きる人にだってなれる。」

ここには時間の概念がないからの。どの時代にだって飛べる。

全ての説明が終わった時、お婆さんは柔らかな笑みを浮かべていた。


「では、私がまた私を選ぶ事は出来ますか?」


大抵の人間はこう言う。

考えてこの答えを出す人間もいれば、即答するやつもいる。何故なのだろう?不思議だ。


「なぜお主はまたお主になる事を選ぶ?偉人にだってなれるのだぞ?」


「私はまた母と父の子として生まれたいんです。お爺さんと恋をして、結婚したいんです。そしてまた我が子を産みたいんです。その子を愛したいんです。それから孫が出来ます。その孫たちの笑顔が見たいんです。私は私の人生が世界で1番幸せだったと思っています。」

ワシはお婆さんの言葉が胸に染み渡るのを感じた。神様だって感動する事くらいあるんじゃ。


そしてお婆さんにワシはまた聞く。

「その選択で後悔はないんじゃな?」


「微塵も。」


短い言葉だったが、力強かった。


こういう事を言ってはならないのだろうが言わせてもらう。正直今のお婆さんは皺だらけだ。

それでも優しい笑みを浮かべるあの顔はとても美しかった。

あんな人に愛されるお爺さんとやらを一目見てやりたいわい。


ワシは決まり文句を言う。

「では、今のお主とは二度と会う事は無いだろう。これでさらばじゃ。」

「はい、有難うございました。」

深くお辞儀をして帰っていった。

帰って逝った。

還って逝った。


ふぅ、神様も楽じゃないわい。

皆にはならない方が良いとだけ言っておこうかの。

どうもですです。くらげです。

これシリーズ化しようと思います。

結構神様書いてて飽きないんですよね。

読んでいただけると幸せなだったりします。

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