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平凡DEATHゲーム  作者: 月野 十六夜
3/10

第二話 天国?地獄?

 あれ?私どうなったんだろ。

 たしか妖精みたいなのを追いかけてたら霧が出てきて、それから・・・ああ、崖から落ちたんだっけ。

 私死んじゃったのかな?痛み感じなかったのが不幸中の幸いだな。

 楓は暗闇の中で思うと同時に何でこんな暗いんだろうと思う。

 そっか、死んだらこんなに暗くなるのか。そしてなにも聞こえな・・・


 カッツカッツカッツ


 ん?なんか足音が聞こえたような気が・・・。あの世からのお迎えが来たかな?

 きっとこのままあの世ってところに連れていかれるんだ。

 なにも悪いことしてないし天国がいいな。

 あっでもこの前読んだ地獄を舞台にした本に書かれてた地獄は楽しそうだったな。

 うん、地獄も悪くない。

 

 カッツカッツカッツ・・・カツン


 


 足音がすぐそばで止まった気配を感じた。と同時に


「もしもーし、聞こえてますか?」


 と誰かに呼び掛けられた。


「えっ?」


 あまりにもはっきりした声だったので楓はパッと目を開く。その時に自分が目を瞑っていたのだということを初めて知った。

 なるほど、暗かったわけだ。


「ようやくお目覚めですか」


 目を開けた瞬間少年が楓の顔を覗き込んで人懐っこい笑顔を作る。


「うわっ」


 楓は飛び起きて立ち上がり一歩後ずさる。

 回りを見るとここは牢屋のように一面石で作られた部屋だった。


「えっ?あれ?ここどこ?私死んだんじゃ・・・あっ!天国か!いや地獄かも・・・」


 一人で思考を暴走される楓を見て少年はやれやれという顔をする。


「落ち着いてください」


「どうしよう・・・まさか死んじゃうなんて」


「落ち着いてくださいってば!」


 少年は声を少し大きめにして言ったので楓はようやく暴走を止める。


「すいません・・・」


 楓はつい謝ってしまったがなぜ謝ったのか自分でもいまいちよく分からない。


「何やら勘違いをされているようですけどあなたは死んでいませんよ」


 少年は平然とした顔で言うので楓は呆気にとられた顔をする。

 楓はもう一度今までのことをよーく思い返す。

 川原で寝てて、蝶々の中に一匹だけ妖精が混じってて、その妖精を追いかけてたら霧が出てきて、崖から・・・。


「えっ、じゃああの崖から落ちて助かったてことですか?」


「ええ」


 楓は一気に気が抜けてへなへなと崩れるように地面に座る。

 ああ良かった。本当に良かった。

 しかし少年の言葉が再び楓を驚かせる。


「そもそもあれは崖じゃないんですから落ちても死なないのは当たり前でしょう」


「は?」


 崖じゃない?何を言っているんだこのにーちゃんは。


「あれはあなたの世界とこの世界を繋ぐ扉です」


 楓は開いた口が塞がらない。


「えっ?あなたの世界?この世界?扉?」


「ええ。ちょっとした設計ミスで上から落ちてきて横から出るみたいな方向が一致していない不思議な扉になってしまいましたが」


「直せよ!いやいや、聞きたいことはそういうことじゃなくて!」


 思わず突っ込んでしまっが今は扉がどうこうとかを聞いているのではない。それも気になるが。


「どうやら説明が必要なようですね。どうぞこちらへ。あっ、私シリルと申します。シリル・バクスターです」


「えっと、星原か」


「星原楓・・・ですよね?」


 楓の言葉を遮ってシリルは楓の名前を言う。


「なんで私の名前を知ってるんですか?」


「それはこれから説明しますから、とりあえずこちらへどうぞ」


 そう言ってシリルは部屋のドアを開け、楓を外に促す。

 楓は戸惑いながらも外に出てみる。

 部屋の外には立派な廊下が続いている。大理石の床にはきっちり絨毯が敷かれ壁は一面真っ白。天井には豪華なシャンデリアが吊されており、楓はまるでお城のようだと思った。


「ここは王都の中心の宮殿。つまりお城ですよ」


 あー、本当にお城なんだ。どこの国のお城なんだろ? 


「リベラ王国ですよ」


 まるで楓の思っている事を見透かしたようにシリルは言う。


「あの・・・私声出てましたっけ?」


 楓はあまりにも不思議で怖く思ったので恐る恐る聞いてみた。


「いいえ。ただここに来た人達はみんなそう考えるという事を知っているだけですよ。あなたもこの世界は初めてなので例外ではないでしょう」


 楓はシリルの言葉が引っ掛かった。

 シリルはいま『あなたも』と言った。それはどういう意味なのか。


「さあ、ここで全てをお話ししましょう」


 シリルは立ち止まり、目の前の大きな扉を開く。扉の向こうからはすごい風が吹いてきた。

 楓はその風に驚いて目を瞑る。そして次に目を開けたとき、目の前に広がっている景色を見て息を飲んだ。

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