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KANNA  作者: 篠宮 美依
24/30

22話

長らくお待たせしました。

多分、この流れで行けばあと10話以内で終わると思います。

 自分のために、祖父が脅されている。


 よく考えれば、その事実に気づけただろう。組織にいた間だって、「組織がどんな類の情報を収集しているのか」が隠されていたわけではない。基本的に得た情報は誰しもが知ることが出来るようになっていた。その中でここ数年、静貴や祖父の名がよく見られるようになっていたのだから、疑うことくらいは出来たはずだ。それが、栞那はただ単に裏につながりのある人々だからだ片付けていた。


 静貴たちはともかくとして、祖父の家―遠藤家―は昔から協力を仰ぐことの多かった家のはず。それがある日を境に急に、“探られる側”になるなど考えにくいのに。


(確か、5年前くらいだったはず……その頃からあの人は、おじい様を脅していた? でも、脅していたならなぜ探ったりなんてするというの)


 その間にどれほどの情報を集めていたのだろう。栞那の祖父を脅して何かをさせていたのだとすれば、監視のために情報を集めていたのかもしれない。


「君は母親の話を、遠藤氏から聞いたことは?」


 ふと顔を上げると、隣に座っていた静貴が、そう栞那に問いかけた。


 栞那は思い返したが、少ない時間の中で彼と話したことは少ない。母親の話は後日という話だったはずだ。


「お母様の話? そういえば、落ち着いたときに話すって……」


 思い出したことを告げると、静貴は少し落胆した様子だった。母親のことが重要なのだろうか。


「そうか、聞いていないのか」


「お母様がどうかしたの?」


「いいや。たいしたことではないんだ。それより今は、もう二度と猫が忍び入れないように対策を練らなくてはね。合法的に且つ目立たぬように彼らを追い払う方法はないものか……」


 追い払う手段。それなら、きっと確かな方法はひとつだろうと。


 それは何より彼が求めている栞那が説得すること。そして、怪しまれずに説得する為には―――。


「……ひとつあるよ」


「え?」


「そのためには、皆さんに一仕事してもらう必要があるけど……。どうする?」


 怪しまれずに説得する為には、連絡手段を手に入れなければならない。


 こればかりは、誰かの協力が不可欠だ。


 栞那がちょっと困ったように笑っていると、静貴は眉を潜めている。「君に任せよう」という言葉とは裏腹に、少し心配そうな表情をしている彼を尻目に、栞那は準備に取り掛かった。そして一枚のメモを彼に手渡す。


 その内容を見て彼は、少し気の毒そうな顔をしていたが、やがて栞那が諦めないと悟ったのか、マックスを連れて退室して行った。


 珍しいことに、遊んでもらえると思ったのだろうか、マックスは文句も言わずに彼について行き、部屋は静かさを取り戻すこととなった。

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