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-黄金の月ー 5

いつもと変わりない朝、何故かその日はいつもより早く目が覚めた


窓の外を見ると雪がちらほらと降っていた




「あっ・・雪・・どうりで寒いと思った・・」




ひとみは中学3年になり受験を控えていた




いつも通り登校準備をし、いつも通り食卓に行き朝食を家族で取った




兄はバタバタしながら急いで食事をとり、姉はTVを見ながら食じをしてた


母はそれぞれに声を掛けていた




『幸人、朝食に間に合うように起きてっていつも言ってるでしょう!』


『亜衣!ほらよそ見ばかりしないで!』




その姿をニコニコしながら見ている父・・・




『ひとみ、おはよう、ほら、お前も早く食べないと母さんにどやされるぞ(笑)』




『うん!』




『ひとみは間に合うの?』




『うん、近いから大丈夫』




いつも朝はこんな感じで母にとっては一日で一番大変な時間なんだろと思った




『そういえば雪降ってたよ!』




ひとみがそういうと、幸人は茶碗を置いた




『雪かよ!だめだ急がないと!』




慌てるように玄関へ走って行った




『雪・・まじ・・最悪・・・』




亜衣は虚ろな表情を浮かべた




『ひとみは雪好きだな~』




『ひとみは雪が降るといつもはしゃいでいたもんな』




父がそう言った




『うん、でも、体調が悪い時はお兄ちゃんとお姉ちゃんが遊んでいるの部屋から見てた、羨ましいなーって(笑)』




『あの時はな・・』




『うん・・でも、雪はそんな時でも好きだったよ、寒い寒いって言いながらも部屋に入ると暖かい部屋に皆の笑顔とかあってさ、家族だな~って感じてた(笑)』




『そうか(笑)お前の感性は純粋だな』




父は私にそう言った・・




それから、数分も経たないうちに皆、それぞれの職場、学校へ向かった




母は茶碗を洗いながらキッチンで「いってらっしゃい」とさけんでいた




本当にいつもと変わりなく、賑やかな始まりだった・・・




歩いて5分もかからない距離にある中学、教室に入ると「寒い寒い」と聞こえた




隣の席の男の子は、机に覆いかぶさるようにして既に寝ていた




「寒くないのかな?」ふと、そんなことを思った




数分すると担任先生が来て朝のホームルームが始まった




一時間目の授業は数学、宿題が出ていたのを私は忘れていてやっていなかった




「どうか、指されませんよう」にと願いながら授業を受けた。




私ではなくさっき寝ていた男子が指された・・・すると、すらすらと答えを言い、再び寝た・・・




「私とは出来が違うのね・・・」そんな風に思った




そうこうしているうちに時間は経ち午前の授業が終わった




私は仲の良い友達と机をくっつけて給食を食べた、友達は給食につく牛乳が嫌いだといい


先生に見つからないように男子に牛乳をあげていた




私も牛乳は少し苦手だけど飲めないわけではないので飲んだ、


でも、お昼のご飯がカレーなのに牛乳って変・・そう思った




昼休みが終わり午後の授業が始まった、私は教科書を開いた


授業が始まって数分もしないうちに廊下を慌ただしく走る音が聞こえた・・・




「なんだろう?だれか午後の授業に遅刻した?」なんて思いながら教科書をパラパラとめくった




すると、足音は私の教室で止まり、教室のドアをノックした




「コンコン」




授業は社会科、社会科の先生は不思議そうな顔でドアを開けた




『授業中すみません、遠藤ひとみさんはこちらのクラスですよね?』




微かにそう聞こえた・・・




その後、先生は顔色を変えた




『遠藤』




「えっ・・あたし?」




『はい』




『ちょっとこっちに・・』




私は席を立ち先生の方へと向かった




「何?どうしたの?」




何となく胸騒ぎのようなものを感じていた・・・



先生は周りを気遣うように小さな声で私に言った




「お父さん倒れたみたいだ、直ぐに病院へ行った方がいい・・・病院は・・・・・・・・」




先生の言葉が途中から頭に入らなくなった・・・目の前が真っ白になり眩暈がした・・・




『遠藤、大丈夫か?』




『はい・・行かなくちゃ・・早く行かなくちゃ・・』




『○○総合病院だ』




「私と同じ病院だ・・・」




私は返事せずに直ぐにそのまま走り出した・・・




「朝からの変な感覚はこの事をさしていたのか・・・お父さん・・お父さん・・」




父が倒れたことで気が動転していた、父は自分が小さい時から病院の付添をしてくれていた


そういう事での過労や精神的な負担がそうさせたんだ・・・




涙が頬を伝う・・・朝まで何も変わらない日だったはずなのに・・・


もし、父に何かがあるなら・・・神様・・・お父さんが無事でありますように・・・












病院へ着いた、急いで受付で病室を聞き向かった・・来なれたはずの病院がいつもと違う感じがした・・



病室に着くと家族が揃っていた




父は眠っている状態だった、そこで母から父の病名について聞かされた・・・




父は癌を患っていた・・・




『お母さん、お父さん大丈夫だよね?ねぇお母さん!』




母を問い詰めるひとみの姿を見て兄幸人が言った




『ひとみ母さんを困らせるんじゃない、俺達は医者じゃないんだ・・不安なのはお前だけじゃないんだ!』




『・・・だって・・お父さん・・お父さんが・・・』




自分のせいで父は病気を発見することが遅くなったんだ・・・




私の体の事があるから自分が辛くても黙っていたんじゃないか・・・




私の治療は長年に渡り続いてるお金も相当かかってきたはず・・・だから自分の事は・・・




言葉に詰まった・・・不安なのは家族も一緒・・・私だけはない・・・




ひとみは父親の手を取り心の中で声を掛けた・・・




「お父さん、絶対目を覚ましてね・・・ひとみ大丈夫だから・・もう一人で何でもするから・・・お願いだからもう無理はしないで・・・」




父は仕事の途中で急に倒れたらしいく、その時に頭を強く打ち付けたらしい・・・


最初は怪我で運ばれてきたが詳しく調べると癌があったらしい・・・それも末期状態だった


主治医は最善は尽くすが覚悟も必要かもしれないと言われたと兄が説明してくれた・・




『そんな・・朝は普通だったじゃん・・・お父さん・・どうして・・どうしてお父さんなの・・私はどうなってもいいからお父さんを助けて・・・神様・・・』




我慢していた思いが吹き出し言葉にしてしまった・・・




『ひとみ、お前がそんなこと言ったら父さん悲しむぞ、父さんは今、病魔と戦ってるんだ今俺達がすることは悲観的になる事じゃない。父さんを応援することだ・・』




『うん・・・』




当たり前の言葉、当たり前のこと・・・兄がいう通りだ・・・









父が目を覚ましたのは入院してから2日後の事だった・・・















































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