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第一章 -黄金の月ー 1


俺はなんて・・・無力なんだ・・・




愛する人を守る事も安心させることをすら出来やしない・・・




今、君が望むことを何でも叶えてあげたい気持ちでいっぱいなのに













俺は世の中の不公平さを恨んだ・・・




今もこうして苦しんでいる僕らに神は手を差し伸べることもない




この世に神などいない・・・







[黄金の月]




ぼくの情熱は 今や流した涙より


冷たくなってしまった




どんな人よりも上手く 自分の事を偽れる


力を持ってしまった




大事な言葉を 何度も言おうとして


すいこむ息は ムネの途中でつかえた


どんな言葉で 君に伝えればいい


吐き出す声は いつも途中で途切れた




知らない間に 僕らは真夏の午後を通り過ぎ


闇を背負ってしまった




そのうす明かりの中で 手探りだけで


何もかも うまくやろうとしていた




君の願いと 僕の嘘を合わせて


6月の夜 永遠をちかうキスをしよう


そして夜空に 黄金の月をえがこう


ぼくに出来るだけの 光をあつめて


光をあつめて・・・




ぼくの未来に光などなくても


誰かがぼくの事をどこかで笑っていても


君のあしたが みにくくゆがんでも


ぼくらが 二度と純粋を手に入れなくても









俺達は必死だった・・・




誰かに迷惑をかけたわけでもない・・・




ただ、ただ、一緒に居たかっただけなんだ・・・




そして、ごく当たり前な幸せな時間が欲しかっただけなんだ・・・












『望・・ワガママに付き合ってくれて・・ありがとぅ・・』




『ひとみ!しっかりしろ!』




『大丈夫、大丈夫だよ・・望・・ひとみはこう見えても・・本当は・・強いんだから・・・』




『馬鹿な事言ってるんじゃねーよ!』








『ごめん・・・あっ・・雪・・』








『寒くないか?これをかけて』







『ありがとぅ・・』







『ねぇ・・望・・』






『もう、病院に帰ろう このままじゃ大変な事になる』







『うん・・でも、もう少しだけ・・傍にいて・・』







『・・・』











『望・・抱きしめて』









『あぁ・・』







『あったかぃ・・望の体・・あったかい・・』






『もっと暖めてやる、だから頼むから病院へ戻ろう』







『ぅん・・』







『ねぇ、私・・望と会えて幸せだっただよ・・・』







『何 馬鹿なこと言ってんだよ・・・』









『ねぇ・・キス・・して・・』









『ひとみ、頼む、ひとみ・・病院に戻ろう・・』











『お願い・・・』














雪が俺達を包むように降っていた・・



それはとても冷たく・・そして暖かいものだった・・・


いつまでも・・・こうして・・いられたら‥




人を想う気持ち・・




格好悪くてもいい・・


常識から外れてもいい・・


そこに、二度と帰らない時間があるならば・・・















『ひとみ-----------!』




















俺が彼女の体の真実を知るにはあまりにも遅過ぎた・・・




あの時、彼女はどんな想いで言葉を発し




想いを抑えていたのだろう・・・




今になり、彼女の気持ちが少しわかるような気がする・・・




その時は必死で無我夢中で、わらにも縋りたいほどの気持ちだった・・・




俺は神に願った・・




「神様、どうか僕たちに明日という光を下さい・・」




俺は神を恨んだ・・




「神なんてこの世にはいない・・」




だけど、そんな事じゃなかったんだ・・・




彼女が俺を想ってくれたこと・・




二度と帰らない同じ時間を過ごせたこと・・











「ひとみ・・元気か・・俺は少し・・元気ないよ・・・





お前が居なくなってから、どう生きていけばいいか分からなくなってしまった・・・





でも・・そんな俺を君は望んでいないよな・・・





でもさ、もう少し・・もう少し・・かかりそうだよ・・・ひとみ・・・」
































































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