第3話 謙吾の覚醒
鈴同様に謙吾も前世の魂と会っていた。
【謙吾…】
「鈴姫様の側近だよね?鈴姫様を悪魔から守って天使界に平和をもたらせば良いんでしょ?弟の馨と一緒に。」
【その通り。良くわかった子で助かった。君には前世からのドラゴンが継承されている。いざというときは姫様を守る為にドラゴンの力を解放しドラゴンと同化すると良い。ただしドラゴンと同化すると天使の姿には戻れないかもしれない。それを心得ていてくれ。】
「わかっている。君は以前、闘いで鈴姫様を守ろうとしてドラゴンと同化した。そして鈴姫様への攻撃を体で受けた為に命を落としたのだろう?」
【どうしてそこまで記憶に残っているんだ?】
「俺の体にも、その頃の爪痕が生まれつきの痣として残っている。だから君の話を聞いて確信が持てたんだ。」
【なるほど、それでか。記憶が残っていたのかとヒヤヒヤしたが早合点だったようだな…】
「そのようだね。さぁ同化しよう。そうすれば、全てははっきりするんだから。」
【わかった。】
謙吾は魂と十分に話して、魂と同化を始めた。謙吾も鈴と同じく独自に古文書や文献を読んでいたので、全てを理解するのは早いものだった。しかし、謙吾の記憶には忌まわしい、天使の中でも起きてはならない事件の記憶がありした。
それに気付いた魂は、記憶を削除しようとした。
しかし魂のそんな行動も謙吾の強い意思の前では無力でした。
謙吾はその記憶を天使界で語り継ぐつもりでいました。
その事件の話はいつかまた謙吾の口から語られることでしょう。