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帝都

「さて、じゃあ向かおうか。」


翌日、予定通りにシズクとアリアは帝都を目指しストックを発つ。


最寄り駅まで馬車で2時間。そこからランダ最大の都市ダスターまで魔法機関車で2時間。そしてダスターから再び魔法機関車に乗り、帝都まで1時間。合計5時間かけてシズクとアリアはバッカリス帝国の首都、帝都ピルリスに降り立った。


「ここが帝都…!」


魔法機関車を降りてシズクの目に入ったのは、全てが魔道具に溢れる魔法都市。空飛ぶ馬車、一回と二階を行き来する部屋、都市を闊歩する魔法人形。そのどれもが一目ではシズクさえ理解できない高度な魔法技術によって作り出されていた。


特にシズクの目を引いたのは魔法人形だ。武装した人形が何かしらの魔法によって指定された場所を巡回している。それは正にかつてレイが求めた物の一つ。治安維持の自動化である。


もし魔法人形だけで治安を維持できるのなら、危険な仕事をわざわざ人間がしなくて良くなるわけである。


「気になるかい?あれは昨年開発された警備魔法人形だ。あらかじめありとあらゆる犯罪を記憶させ、それに該当する行動をとった人間を拘束する。まだ試作の段階だけど、既に一定の成果を上げているようだよ。」


「そうなんですね。」


何百年も前にレイが理想とした世界がこの時代において実現されようとしている事実に、シズクは大いに奮い立った。自分も魔法の最先端に立ち、この先の未来を見届けたいと。


「シズク君はああいった物に興味があるのかい?」


「興味はありますが、僕は魔道具よりも魔法そのものの方が好きです。」


「そう。なら、この先向かう場所は君にとっては楽園のような場所かもしれないね。」


そう言って向かった場所は帝国軍本部。帝国の魔法使い中でも精鋭中の精鋭が集う場所で、この世界で最も魔素の濃度が濃い場所と形容されている。


その触れ込み通りというべきか、魔素への感受性が高いシズクはその敷地内に入る前から、濃密な魔素を感じ取っていた。そして一歩、敷地内に歩みを進めたシズクが最初に感じたのは鋭い視線の数々だった。


シズクはまだ知り得ないことだが、魔法を極めた者達は相手の魔法の実力や才能を見抜く力を持っている。当然、本部にいる魔法使いはその力を全員が持っており、そんな彼らが圧倒的な存在感を放つアリアに気付くのは必然だった。


そしてその興味はアリアの隣を歩く少年に向けられる。その少年もまた既に高い素養を持ち合わせているのだから。


「凄い見られている。皆君に興味津々みたいね。」


「少し恥ずかしいです。」


「恥ずかしがることはない。世界でも有数の実力者達が君に注目しているのよ?むしろ誇るべきだわ。」


シズクに目線を向ける人達は今までシズクが見たことがないような実力者ばかり。まだまだ未熟なシズクでさえそんなことはすぐにわかる程の圧倒的な存在感を全員が放っている。


しかしその直後、その存在感が一瞬で薄れるほどの凍てつく寒気がシズクを襲う。


「やぁ。君がシズク君だね。」


耳元で声が聞こえた。それに驚いたシズクは咄嗟に前に飛び、その声の主から距離を取る。


「アミルカ将軍。10歳の子供をいじめるのは辞めてください。」


「はは。すまないすまない。10歳で攻撃魔法を使える子がどんな子か気になってね。試してみたんだが...うん。良い反応だね君。」


「シズク君。紹介しよう。彼女は帝国軍の将軍の一人。アミルカ将軍だ。」


シズクの目に映ったその人は全てを飲み込むような漆黒の瞳と、膝まで伸びた長い髪を持つ、貼り付けたような不気味な笑みを浮かべた女性だった。


「初めましてシズク君。私はアミルカ。一応、帝国軍第二軍の将軍をやっている。よろしく。」


「よろしくお願いします。」


アミルカから握手を求められたシズクは不気味に思いながらも迷わず彼女と握手を交わした。その手が恐ろしい程に冷たかったことをシズクは一生忘れることがないだろう。

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