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3-1

日付を超えてしまいましたが、2024年7月28日 投稿(予定)だった分です。

 午前6時。いつもの通り目覚ましが鳴り、悠里はベッドから起き上がる。春先なのでまだ少し薄明るい程度だが、カーテンと窓を開け、表の通りと街並みを特に何も考えすに眺める。ふと滉哉の家の玄関が目に入り、昨日の出来事がぶわっと頭の中に蘇った。それを振り切るようにブンブンと頭を振り伸びをすると、悠里は洗面所で顔を洗って歯磨きをし、リビングへと向かった。


「おはよう」


 キッチンから悠里の姿を目にした母が挨拶をしてくる。ダイニングテーブルにはすでに父もいた。


「お父さん、お母さん、おはよう」

「昨日は何してたんだ?退屈してないか?」

「家にいても退屈だったから、近所をぶらぶらしたよ」

「何か面白いことはあったか?」

「んーーー。あ、斜め向かいの男の子と会ったよ」

「中本さんのお宅か。あそこは4人兄弟妹(きょうだい)らしいし、同級生もいるんだっけ?挨拶の時にちらっと見ただけだが、、仲良くなれそうか?」

「うん、なんか面倒見の鬼って感じだった」

「なぁに、それ?」


 父と話をしていると、朝食の準備を終えた母がサラダを片手にこちらに来ながら会話に入ってきた。


「昨日、斜め向かいの中本さんちの男の子と会ったよっていう話」

「仲良くなれそうかって聞いたら、悠里が面倒見の鬼だっていうんだ」

「へぇ、男の子なんでしょう?面倒見のいい子ならご両親も下の子たちも安心ね」


 母の返しに少しもやっとし、さりげなく話題を変えることにした。


「お隣にも同級生がいるんでしょ?そこも男の子?」

「いや、隣は女の子だったはずだ。3つ下の妹もいるらしい」

「ふぅん」

「仲良くなれるといいわね」

「そうだな」


 母がご飯と昨日の残りのお味噌汁をそれぞれによそい、悠里はサラダ用のお皿とドレッシングをテーブルに並べる。その間に父がみんなのお箸を揃えた。いつもの朝食の流れだ。


「「「いただきます」」」


 父の職場は少し遠く、母の職場は近い。そのため父は会話もそこそこにさっと食事を済ませると、歯磨きをし身支度を整え「いってきます」と家を出ていった。週末以外では、朝食の前の少しの時間が悠里が父と話す唯一の時間だった。そこに残った母とほとんど無言で食事が進み、先に食べ終わった悠里は「ごちそうさま」と席を立った。いつも父と自分の分の食器を洗うまでが悠里の役割だった。二人分の洗い物が済むころ、母が自分の食器をもって流しに来るので、場所を空ける。悠里は布巾をもってテーブルに行き、ランチマットを回収し、綺麗に拭きあげる。

 キッチンから出てきた母が身支度を整えて「いってきます」と家を出てしまうと、悠里は家に一人になる。基本的には、まず家中に掃除機をかけ、気になるところは雑巾で拭き、曜日によってはごみ捨てをする。今日はごみ捨ての曜日ではなかったので、掃除機をざっとかけて朝の掃除が終了した。


「あーあ、今日も暇だな」


 学校が始まっていれば、学校へ行く準備をしたり、それでも時間が余れば予習復習の時間にするが、なにせまだ入学前で教科書の一冊もなく、やることがなかった。






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