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2024年7月15日 投稿

2024年7月28日 加筆修正

 東根悠里(あずまねゆうり)は今年小学校を卒業したばかりだ。悠里の小学校卒業を機に、一家は家族で隣の市の一戸建てへ引っ越してきた。

 仲の良い友達もまだいなかった。ただ、新しく宅地として整備された区画に引っ越したこともあり、周囲の家々もみな知り合いというわけではなく、東根一家も自然とそこに馴染んでいた。

 お隣と道路を挟んだ斜め向かいのお家には悠里と同じ学年の子がいるらしいが、両親から話を聞いただけなのでどんな子なのか知らない。中学校に通うようになれば自然と分かるだろうと思っている。


 悠里は自他共に認めるほどとても内向的な性格をしていたが、しかしその一方でとても優秀だった。不得意なスポーツはいまのところなく、大抵は平均以上の結果を残せたし、勉強に関してはいつも学年で上位5人に入るほどだった。また両親が共働きで忙しい日が多く、小学校高学年に上がるころには家事も一通りできるようになっていた。

 ある程度のお小遣いは毎月与えられていたが、特に外出する習慣もないので、そのほとんどが貯金されていた。大抵は家で勉強と家事、それとたまに読書をする、そんな日常を送っていた。それは以前のアパートから一戸建てに引っ越したところで変わることではなかった。


 引っ越しから1週間が経ち、明後日には中学校の入学式が控えているその日、悠里はやることもなく暇を持て余していた。平日だったので両親はいつも通り仕事に出かけていたし、午前中にやるべき家事は終わらせてしまったし、お昼ご飯を食べてしまえばもう特にやることはなかった。

「暇だな……」

 リビングのソファーに寝そべって、ぼーっと昼の情報番組が流れるテレビを眺める。

「明後日からは学校だし、暇だし、ちょっと近所を散歩してみようかな」

 手早く身支度を整えると、さっそくふらりと町中へ繰り出した。特に行く当てはなかったが、ひとまず住宅街から出るために大通りへとつながる道へと向かった。ここを左に曲がると大通り、という交差点まで来て、ふと反対側へ続く道が気になった。まあでもとりあえずは学校に迷わず行けなきゃ困るし、と思い大通りへ出た。

「うん、この大通りの交差点を右に進めば中学校ね。というかもう校舎の端が見えているから迷いようがないわ。」

 スーパーや本屋も大通り沿いに店を構えているので、こちらも同じく迷いようがない。それに越してきてすぐに一度家族でスーパーへ買い物にも行っていたので、覚えていた。

(うーん、やっぱりせっかくだから大通りの反対側に行ってみようかな)

 そう思い、先ほどの交差点まで戻った。大通りとは反対側へ続く道は、どうやら小さな山へと続くようだ。そちら側に人通りはなかったが、住宅地の整備と同時に山へ向かう道も整えられたらしく、軽装のまましばらく進んでも問題はなさそうに見えた。今はまだお昼過ぎだし、深入りしなければ夕方暗くなる前にはかえって来れるよね、、と交差点のところで暫し考えを巡らせる。


「お前、さっきから何してるんだ?」


 悠里の思考を遮るように突然背後から声がかけられた。



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