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掌で踊る  作者: 泰然自若
5/18

4-不

 洒落にならんね。

 俺は、ため息をついた。



 数は見たところ8体か。

 


 っと。



 手前にいた骸骨が剣で攻撃してきやがった。



 それを境に皆さん一斉に動き出しましたね。



 俺は、刀を正眼に構える。



 しゃー。こい!



「ふっ!」



 息を小さく吐き出しながら、正面から斬りかかって来た骸骨を切り伏せる。



 女神様の言っていた事は、本当らしいな。



 動ける。見える。状況が、相手が何をしてこようが対応できる。



 残り7。

 盾を持っている奴が、邪魔だな。刃こぼれはしないと願いたいが


 左手から槍が飛んでくる。 それを後退しながら避けると後方に気配を感じつつ振り向きながら

 背面の状況を見る。


 迫る刃を刀で受け流し、そのまま頭を飛ばす。



 それを横目にそのまま、右にいた骸骨に切り込む。

 相手は盾を突き出し、防ごうとしてくる。


 金属のぶつかり合う音が響くがお構いなし


 そのまま、力の限り押し切ってを体勢を崩す



 崩れると同時に、間合いが開く。

 そこを見逃すはずもなく腰の辺りを斬りつける。

 軽く斬りつけたが相手を二つにするには十分だったようだ。



 凄い。



 テンションあがってきた。

 なんて思いつつ構えを立て直す。



 残り5。


 しかし、ここで問題が…



 身体が痛いです。

 くそ…。



いくら強くなったとはいえ自分の身体自体が達人のようになってないということか

 節々が、やばいほど痛い



 身体への負担を減らしつつ、攻撃しないと


 そう考えつつ、槍が伸びてくるのを避けつつ、正面にいる二体に斬り込む。



 二体とも上段からの振り下ろしを行なってくる。

 だが、今の俺に死角はなかった!



 見える。剣筋が見える。

 相手の刃が身に届く前に二体とも、鮮やかすぎる抜き胴で切断する。



 かっこいい…自画自賛。



「くぅぅぅ!」



 今の攻撃で足をやった…。



 やばい。足

 痛すぎる!



「いてぇ!」

 思わず、膝をつく



 それを見逃してくれるはずもなく残り三体が一斉にきた!



 涙目になっているが構うものか。



 相手の攻撃を横っ飛びで回避してから、一番近くにいた槍使いの足を斬る

 倒れこむ敵によって残り二体の移動に若干の遅れを取らせる

 その隙に、立ち上がり間合いをつめる。

 手首を落とし、頭を刎ねる。



 残り1。



 手首を落とした方は既に武器すらもてない。

 落ち着いて斬りつける。



「ふぅ…!」



 ぐぅ…、痛い!

 その場に座り込む。


 ダメだ…このままだと、身体が戦闘に付いて行かない。

 これでは、意味が無い…。




 筋トレとかしないといかんか…



「ん?」



 気付いたら、目の前の壁に鏡が飾ってある。



 あったかな?

 そんな、違和感を覚えつつ、鏡を見ているといきなり波紋がうねる。



 なんという、現象。


 一通り波打った後、真紅に染まる球体のようなものが鏡から出てきて



 落ちた。



 なんだ、あれ。

 痛さを多少我慢しながら、近づいてみる。


 なんだろう、果物?っぽいな。

 リンゴのようでリンゴでない。

 見たこと無いな。

 まずヘタがないし、リンゴのように両端が窪んでいない

 何より、色が本当に赤。



 禍々しい…。



 単色がこれほど気味悪いとは。


 そう思いながら、手にとって見る。



「うを!」



 いきなり、手から俺の内部に染みこんで行くんですけど!



 何これ、あり得んだろう…



 なんだ。

 身体が熱い…!



「ぐぅぅぅ!!」



 あ、あれ。

 なんだろう。こんな痛み前にも



 てか、ここにきてから、こんなことばっかじゃないか!



 待って、俺、死ぬんじゃね?

 あ、痛みが引いて来た。

 良かった…。生きてる。



 しかし、一体なんだったんだ。



 特に、身体自体に異常はなさそうだが

 本当に、痛みが消えてる。



 戦闘の痛みもまるっきり。すっきりしたものだ。



 それにしても、この鏡から何故にあんなものが



 って。



 あれ。 いきなり、鏡の中に吸い込まれたんですけど。

 可笑しいでしょう。常識的に



 もう少し、判りやすく物事を進めて欲しいよ。



 なんだ。あれ。



 目の前に、半獣っぽい石像が

 嫌な予感しかしないんです。



 ほら、やっぱり動き出したよ。

 勘弁してくれ。



 半獣はなにやら、槍というより戟を持っている。

 ミノタウロスみたいな奴だな…。



 来る!



 即座に反応して、相手の初撃を避ける。

 懐に入り込たい。



 が



 難しい。



 体格からは似つかわしくない連撃。




 くっ!



 食らったら死ぬぞ絶対。



 緊張感がやばい。 首元めがけ伸びる筋を読み身体を沈ませながら右に流す

 左足を大きく踏み出し、抜き胴



 できない。



 くそ、仕込みの武器ですか。

 手槍二本になってさらに、連撃の速度が増す!



 隙が中々…!



 右手の攻撃を避け、左手の攻撃を受け流す。



 避けた事により、相手が追撃のため前に出る。

その攻撃動作の僅かな隙に身体を寄せて、密着。



 足元が空いた。

 相手が膝蹴りを繰り出してくるがそれを避け、刀で膝を斬りつける



 足を奪う。

 密着から離れると手槍の攻撃が入るが精彩はない。



 脆い。


 深く斬ったつもりはなかったのだが、相手の膝は切り口から亀裂が幾筋も延びている。


 それでも、強引に動こうとして足が限界を迎え、崩れ落ちる。



 ひょっとしたら、俺の感覚以上に深い傷を与えていたのかもしれない。



 そんな事を、思いつつ、崩れた姿勢の石像の頭を刎ねた。



 違和感。



 そう、今、猛烈な違和感が襲ってきている。



 俺が俺ではない。そんな感覚。



 どうして?



 何故?



 かなり、無茶な動きをしたのに、身体が悲鳴をあげない?

 何故、息が乱れていない。



 おかしいぞ。

 どうした俺。

 いや、どうなった俺!



 なんて、驚いていたら、目の前にいつの間にか扉が…。



 本当、何でもありですね。ここ。

 なんか、この扉見るたびにどっと疲れるんですけど。






 ガチャ






 元の場所に戻ってきていた。

 大きく開けた窓?というかバルコニーっぽい所あるな。

 まぁ、そこから光が差し込んでいる。



「おかえりなさい。」



 テーブルには変わらず、女神様が座り

 お、タク坊じゃないか。

 クッキーを食べておられる…。



「疲れましたでしょう?」



 女神様の笑顔が眩し過ぎます。



 タク坊が一瞬、俺の顔を見て、しかめっ面を見せたのが地味にショックなんですが…。

 ま、まぁ取り合えず落ち着こう。



「試練を乗り越え、いよいよですね。」



「その前に、この世界の一般教養などは教えてはくれないのですか?」



 取り合えず、ここ別世界なのだから、俺の世界の常識が通用するとは思えないのだけれど。



 是非とも、ご教授願いたい。



「残念だけれど、それは、やはり現地で学ぶのが一番なのです。」



 いや、それはないですよ。

 せめて、お金とかは教えて欲しいかな。

 というか資金がありません。



「残念だけれど、私から恵みを与えるのは禁じられていますの。」

 なんという…。



 明らか、女神様、顔困ってないですよね。


 口から出た言葉は凄く申し訳ないという感じですけど、顔思いっきり笑顔ですよね。



「タクマ。ゆっくり食べて良いのですよ。」



 あぁ、そうですか。もう何も言う事はないのですか。



 はぁ。



「所で、どうやって下界へ?」



「扉を使って、移動します。」



 便利ですね。未来のアイテムのようです。


 既に、見えてる扉がそうなのかな。



「えぇ。」



 そうですか。

 お、タク坊が食べ終えたようだ。



 なんというか。カワイイな本当。

 小動物みたいで。




 そういいながら近くにきたタク坊は若干、俺のことを避けているようにも…。



 何があった。

 俺に一体…。



「もう、行きますか?」



 女神様が珍しく、普通の顔をしていらっしゃる。



「ここに、いても、ご迷惑をかけるだけですから。それに」



「そうですね。」



 そうですか。



 いや、まぁあれだよ?

 タク坊の目的が第一だからさ。



 というかタク坊が喋る場面じゃないの?

 旅の目的、君のためなんだけど



「僕は、確かめたい。だから、行きます!」



 おぉ、かっこいい。



「私も、心から祈っています。」

 女神様に祈ってもらっているのなら大丈夫だろうね。



 なんというか、そんな感じが



「って…。何この光。」



 俺の右手側から猛烈に光ってるものが



「あら、これは。」



 女神様も驚いているようだ。



 なんだ、これ。



 というか、俺、引きずり込まれてるんですけど!



「うを…! ちょっとまって!」



「おじさん!」



 タク坊が俺の左手を引っ張ってくれる

 嬉しい。おじさん。嬉しいよ。



 だけど、このままだと二人とも訳のわからんものに…



「離すんだ! 大丈夫だ。」


 俺は、そんなことをいいながら左手を解かせる。



 女神様、なんとかしてください!



 貴方だけが頼りです!



 といいながらもうほぼ全身引きずり込まれとるがな



「大丈夫です。」



 女神様のお墨付きを貰えた気がした。






闇は光に言った。


お前の闇には、我が闇など足元にも及ばない



文章に違和感

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