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魔術戦刻  作者: 桜澤 那水咲
天王帝国編
31/34

天王帝国3

森の中を歩いていると、ふとシユリ島を思い出してしまう。そのせいか、ミズハは少し森の中が苦手になっていた。森の中はあの襲撃を思い出すからだ。

追い回され、泥だらけにやって逃げ周り、暗い雨と火、そして血を思い出すのだ。

考えていると気分が悪くなるためメグに話しかける。


「家ってどこにあるの?もう結構歩いてるけど。」


声をかけるとメグは顔だけこちらを振り向いた。


「ああ〜、家は普通に街中にあるよ。ただあの状態で降りる時に目立ちたくなかったから森に降りたの。だから結構遠くなると思うよ。」


その言葉を聞いてミズハは内心肩を落とした。

体力の無いミズハからすると今の状況は地獄だった。


「あっそう言えば!!」


何かを思い出したかのようにメグは声を上げた。

すると再びミズハを見る。そして手を差し伸べた。


「その刀貸して」


メグの言葉にミズハは足を止めて警戒する。

刀とは、もちろんミズハが背中に付けている白い刀だ。


「なんで」


「だって子供がそんな大きな刀持ってたらおかしいでしょ。」


確かに大きさは、ミズハが引きずってもおかしくない大人が持つような大きさだ。どう見たって違和感の塊でしかない。


「それでも嫌、あんたは信用出来ない。」


まだ出会って一日も立って無い人間に簡単に物を渡すことは出来ない。

それを聴いたメグは少しめんどくさそう顔をして上を見上げた。


「もういいから貸しなさい。なら交換条件はどう?」


「交換条件?」


「そう、今この場で私にその刀を渡してくれたらその刀の情報を教えてあげる。」


(刀の情報?ってことは、こいつは何か知ってるのか。だが刀を見ただけで分かるのか?もしかしたら嘘かも、ああでも気になる!!クソ!)


少し不安もよぎるが、情報が気になりやむを得ず渋々と刀をメグに渡した。

すると、メグからの返答は早かった。


「へぇ〜これは面白いわね。ただの普通の刀ね。」


「え、普通ってどう言う事。」


メグの言葉にミズハは逆にビックリした。

まさか最初のコメントがこんなにあっさりしているとは思わなかったのだ。


「誰かが作った刀って魔力を感じるんだけど、これはそれを感じない。言葉通り、魔力がない者がこの刀を見たり触っても普通の刀にしか見えないってこと。」


メグの見立ては不思議と聞けば聞くほど、謎が深まっていく。


「つまりそれって裏を返せば持ち主の魔力で出来てるってこと?」


「そうね。でもただの刀にしか見えないこれが何故魔力で出来てると分かるのか。そこが問題よね。答えは簡単、現在のこの世で白色の刀なんて存在しないからよ。」


「色だけで判断できるの?あるかもしれないじゃない。」


「いや、絶対に無いわ。それは断言できる。こうなれば刀の断面まで綺麗に白なのか気になるわね。一回折ってみたい。」


「それはダメ!!」


メグは目をトロントさせて刀を上に掲げるので、本当にやりかねないと思ったミズハは全力で止めた。


「ごめんなさい。つい好奇心が。何故色物の刀が無いのか、それは単純に作れないって理由もあるけど、必要ないからって理由もあるの。殺し合いに置いて一番重要なのは相手に情報を与えないこと。つまり目立った物を持つことはせず自然に溶け込もうとする物なの。だけどこれは主張の塊でしかない。まるで何かメッセージでもあるのかしらね。」


(メッセージって、なぜか意味深だな。)


「そんな不気味な刀だったの。」


「ええ、見た目もそうだけど作りも不気味ね。さっき普通の刀って言ったけど、あれには別の意味もあって、魔力を感じないって事は、魔力を悟らせない程の実力があると言うこと。その境地にいる使い手、つまりかなりの使い手で魔力の熟知をしている相手ってことね。」




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