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ワカレ
ミズハはカインの一言に言葉を詰まらせた。
「分かったらさっさと荷物をまとめて出ていけ。」
カイン本人は平然と何も思うことなく言葉を並べる。
だがミズハは何も言うことが出来なかった。
表面的な表情と内面的な感情が違うとき,それは嘘になるからだ。
ここで暴言を吐くのは違うと心を押し込めた。
「わかった。次会う時は殺す。」
「ああ、それでいい。」
この時のカインは、何故か清々しく見えた。
二人の会話を遠目から眺めていたメグは微笑んだ。
「これもまた師弟ってやつなのかしら?」
メグは現在山奥の建物に入り込んでいた。
燃えた後故、一部しか残っていないが、この位置なら島全体を見渡す事ができた。
「逆によく残ってたわね。この建物。竜人が半日で終わらせたからかしら。まぁ〜でも穴だらけだけどね。」
合間合間の床の穴や倒壊部分を飛び越えて、歩いていく。その時に、メグは気づいた。
「なるほどね。」
その瞳は考え深い何かを宿していた。
「ここからは早く立ち去った方がいいわね。さて、迎えに行こうかしら。あの子を」
メグは建物から降りると先程二人がいた場所に歩き出した。