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魔術戦刻  作者: 桜澤 那水咲
師匠と弟子
18/34

時間

あれから、何時間たったのだろうか。

ミズハは揺れる光に眩しさを覚えて目を開いた。

目を瞑っていても分かるほどの刺激だった。


「ゔっ、う。」


(眩しい…何この光。)


眉間に皺を寄せながらその眩しさを手で凌ぐ。

目を開けた世界は、晴れた空が広がり、暖かい太陽が表に出ていた。その下には海があり、見た所浜辺の木の下に寝ていたようだった。


「ここは、そうか。…あの訓練場から近い場所か。」


そんな言葉を呟いた瞬間に、ミズハはハッとした。


(ちょっと待って!これって、朝だよね!…ってことは!!)


勢いのまま立ち上がると、服についた砂を払った。

時間の感覚から、先程までカインと戦っていたのは昨日の出来事と言うことになる。

つまり一日も時間を無駄にしたのだ。

ため息と共に、憂鬱になり頭を抱える。


「ん!」


ふと頭を上げた時、海水に自分の顔が写っていた。

それを見て、ミズハは海水をじっと見る。

この瞬間だけまるで時が止まったようだった。


「私の、瞳。」


いつもと違う違和感があった。

揃っている筈の色が、今は二つに分かれている。これが本来のミズハのはずなのに、それが信じられない程忘れてしまっていたのだ。


「そっか、そういえば薬の効力切れてたんだ。」


手を目元に持っていき、鏡になっている揺れる海水に話しかける。


思えば、これは呪いなのかもしれないと思っている。


「この瞳は災いしか呼ばないな。」


そう呟くとミズハの瞳は深く沈んだ色に変わった。


だが、ふと今の状況を思い出し、現実に戻る。



「そうだ!考え事にふけている時間はない。」


それどころじゃ無いと、ミズハはカインを探すために直ぐに回れ右をする。

そのまま、焦って森に入ろうとするが後から呼び止められる。

その声を聞き、ミズハは探す必要の無くなった人物を見る。


「お前は寝ることが多いな。」


いつも通り、真っ黒の服を着たカイハはそこにいた。

だがいつもと違ったのは、カインの刀とは別に、もう一つ別の方が手に握られていた。

そして、カイハはその刀をミズハに投げた。


「ほら、お前の刀だ。次は目を離すなよ。」


驚きながら、焦って刀を掴むと、ミズハはカインを見つめた。


「えっ、なんで…」


絶対返す気がないと思っていたのに、あまりにも予想外だった。

慌てたミズハの目を見て、カインは表情一つ動かさず口を開く。


「俺は、簡単に返したわけじゃない。それを常々忘れるな。」


無事奪われる事なく、自身の手元に戻ってきた刀を見つめる。久しぶりに握った刀はやはり重かった。

だが、疑問だった。なぜ先から先まで白いのか。

普通の物ではないことはわかる。


「まだ何か、この刀には隠し事があるのだろうか…」


その後も訓練は続いた。

いつものように、走らされ、刀で戦う、その繰り返しだ。


(まぁ、実質を言えば、カインのサンドバッグ状態だった。ランニング中に切り掛かってくるわぁ〜、格闘の時は踏みつけられるわぁ〜、そればかりだった。)


訓練も何もない、とにかくミズハが嫌がることを繰り返された。混血種だからまだいいものを、普通の人間だったら死んでいるだろう。


それに変わって、新しい事と言えば、最近は外の世界の勉強をさせられた。

大きく分けて、国が三つに分かれていること。

その場所の気候や天気、世界観。

国民性など、カインは事細かく教えた。

その話についていけないミズハは頭を抱えた。


「ええっとぉ〜、ここが天王帝国で、この雪の地域が竜英国で、悪天候が多いのが獣領国?だっけ、難しいんだけど〜とりあえず行ってみればいいじゃん。」


「イタッ!」


その度にカインに頭を叩かれるなどの被害あった。


「お前は、考えるより先に体が動くタイプだからな。悪い癖だ。」


「あんたの方が、手が出るだろうが!」



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