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魔術戦刻  作者: 桜澤 那水咲
師匠と弟子
16/34

特訓

カインの雰囲気が一瞬で変わり、ミズハも瞳で威嚇をする。相手は大人、ミズハは子供だ。圧倒的な力の差があるのは見るからに分かりきっていることだ。


だからこそ、勝てるはずのない拷問が始まる。

距離を取った二人は、距離は変わることなく、カインが先に動いた。

後ろに手を回し、背後から何かを取り出す。

そして、それをミズハの方に投げる。


「!!」


くるくる回転して来る物をなんとか受け取ると、物の正体はわかった。


「短剣?」


口から言葉が自然と漏れると、ミズハはカインの方に目線を送る。


「そうだ。好きなようにかかってこい。なんなら今俺を殺してもいい。」


(短剣、これは命を奪える……いや、奪ってしまえる物だ。こんな物を人に向けると言うのか。)


先程の復讐心を忘れて一瞬で恐怖がミズハを支配した。

短剣を持つ手は震えて、とても握ることが出来なかった。


覚悟が決められないミズハに見かねたカインは、突然ミズハの前に現れると、一瞬で蹴り飛ばした。

人間離れした力であっという間に地面に転がされ、怪我をしていた手に痛みが走る。


蹴られたのは、腕だったが、転んだ時に傷口が開いたようだった。


(グッ、せっかく治りかけてたのに、確かこの手の傷もカインに初めて会った時の怪我だったな。)

 

荒い息を吐きながら、しゃがみこんで、なんとか痛みに耐える。

だがそれをカインが待ってくれる筈もなかった。


「お前は有言実行出来ないのか?何を躊躇している。ここにいるのは竜人なんだぞ。つまり、お前の敵だ。ちゃんと殺せ。」


「ハッ、ハッ…」


カインは怒りを静かに表しながらも、ミズハの近くに再び近づき、その別の恐怖にミズハは足元に一緒に転がってた短剣に手を伸ばすが、その手は踏まれ、短剣を遠くに飛ばされた。


「相手の命を奪う覚悟もない奴が剣を握るな。」


覚悟が決まらなかったミズハはその後も動けなかった。

固まった体で、行動も反撃もできず、一方的に殴られ続ける。


「どうやら、やる気が足りないようだ。」


伏せるミズハにカインは何かを取り出して、黒い布から出された物を見てミズハは言葉を失う。


「お前が気絶した時に持っていた刀だ。」


忘れる筈もない。その白い刀はいつの間にかカインの手に渡っていた。気絶した後に取られていたのだ。

刀を見た瞬間に痛みで動かなかった体が一瞬で動きを取り戻した。


「かっ、返せ!!」


なんとか立ち上がり、奪い取ろうとするがカインはそれを許さず、ミズハの手をかわす。


「お前にはいらないだろう。こんな上等な刀、(こいつ)が鳴く。」


見下された顔にミズハは更に拍車がかかって、なんとか奪い取ろうとするが、刀が上に上げられると背がたわず断念する。


「いいか。今から俺を納得させることが出来なかったら、この刀を海の底に沈める。安心しろ、一瞬で持ってってやる。」


(海の底だと!冗談じゃない!)


「やめろ!!それは、仇の女を見つけるために必要なものだ!!」


「そうか。なら尚更渡せないな。俺は危ない物を使いこなせないような奴に刀剣を渡さない。奪われるか、取り戻すかだ。」


いいか?と問われ、悔しくもミズハは頷く。

その瞬間にミズハの心構えは変わった。


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