認めましょう 貴方は私の次に美しい
「これもいいじゃん!これもイカシテルじゃん!」
「どれもアイル様に似合いそうですね」
近隣の制服を次々にスクリーンに映し出しているダイバと、
制服を見て興奮している様子の兄。
ダイバに制服のカタログを取り寄せるように言ったところ、
今はインターネットというものを使って画面上で見れるのだという。
ダイバは機械系に詳しいらしく、
インターネットで表示したものを
プロジェクターでスクリーンに映し出すところまでささっとやってのけていた。
「スクリーンの前に立っていただければ、制服を模擬試着できますよ」
ダイバに言われた兄は、早速スクリーンの前に立ち様々なポーズを取っている。
「イルア、どうじゃん?」
「まあ、似合ってるんじゃない」
美しすぎる私たちは、洋服が似合わないということがない。
「俺が着る制服だからちょっと自分でも見てみたいじゃん。イルアがこっち来るじゃん」
兄に言われ、ポジションをチェンジする。
騒がしい兄が外に出てくれるのは私にとっても喜ばしいことなので、
イメージがしやすいように髪型を兄に寄せて変えてあげた。
「これも似合うじゃん、あ、それも似合うじゃん」
当たり前でしょう、と思いながらもポージングは忘れない。
結果、その日は寝るまで模擬制服ファッションショーが行われ、
最終的には制服の色が一番好み、ということで決めたらしい。
後日、仕立てた制服をダイバが部屋に運んできた。
「やっふーい!実物は思ってたよりもっといいじゃん!」
早速制服に着替えて満足そうな兄。
「念のため、イルア様の分も仕立ててあります!」
そう言ったダイバに、女生徒用の制服を手渡される。
せっかくなので制服に着替えてみると、なかなか悪くない。
「こうして並んでおられると、世界一美しいご兄妹ですね」
ダイバの言葉に、兄と二人、ふん、と鼻を鳴らすと
「「当たり前でしょう。私(俺)は世界一美しいから(じゃん)」」
言葉が重なった。
お互いに顔を見合わせ、同じ制服を着ていることを改めて認識する。
まじまじと見つめてから、つぶやく。
「まあ、認めましょう。貴方は私の次に美しい」
完璧な私の隣にいるのは、また完璧な兄でなくては困るのだ。
まあ、顔だけだけど。
ナルシストのお題で書いてみました。
9年ぐらい放置していた話のようです。
イルアとアイル、イルアの方がまともに見せかけて、
イルアもなかなかにぶっとんでいる性格だったりはします。
小話ですが、ダイバは、デジタル人材が必要だということで屋敷で働き始めたようですよ笑
お付き合いありがとうございました。