褒めるふりして自画自賛
食事を終え、自室に戻る
部屋は余っているはずなのになぜ兄と同じ部屋なのかは解せないところ。
「で、高校にはいつから行くの?」
「え…知るわけないじゃん」
やっぱりバカなのだ。彼は絶対にバカなのだ。
「とりあえず一番似合いそうな制服の学校がいいじゃん
ダイバに制服カタログ取り寄せさせよう…じゃん」
「無理矢理語尾統一させなくていいと思う」
「うっ…」
「と、とにかく、イルアも一緒に通うじゃん?」
「今回はパスで」
「えぇえええ!!なんでじゃん!!」
やっぱり前回の失敗は完璧に忘れているらしい。
日中だから結局行けなかったことも、
なんとか学校にたどり着く途中に何人ものヒトと遭遇して大変だったことも。
ヒトの血が苦手なのにヒトに寄り付かれると
美味しい匂いだけが自分たちを苦しめてひもじい思いになることをきっと忘れてるんだ。
「ここが一番安全だし、外には興味ないのよ、私は」
「えぇえええ!もったいないじゃん!
イルア絶対なんでも似合うじゃん!その完璧な容姿に最近のイカシタ制服きて可憐に学校に行く姿とか悶絶ものじゃん!」
「気持ち悪い…」
「イルアがいれば俺が女装しても完璧だっていう証明になるじゃん」
発想は意味が分からないけれどきっとあれなんだろう。
要は、私を自分に重ねているんだ。
つまり、これは自画自賛だ。
私を褒めるふりして自画自賛か
…ちょっと薔薇の棘を研ぐことにしよう。人の血は苦手だけど、吸血鬼の血は案外いけるものかもしれないし。