掲示板勢集合!2
つづきです
「邪魔だ。どけ」
一番先頭を歩く男の威圧的な態度に、皆んな顔を青くしてサーっと道を空ける。
後ろには見るからにヤバそうな男達が10人ほど付き従うように付いてきていた。
「な…なんだアレ」
「どう見てもオンラインゲームとかするような連中じゃないよな?」
何事かと思いつつも怖くて何も言えず小声で話す面々。
周囲に睨みを利かせつつ、歩く男達。
しかし、アヒトの前まで来たところでリーダーらしき男の態度が豹変した。
「こ、こんばんはアヒトさん!」
「えっ、キョウガさん!?」
そう、現れたのは舎弟を引き連れたキョウガだ。
アヒトがここに居ると聞いて駆けつけたのである。
「ヤダな、呼び捨てにしてくださいよアヒトさん」
「いや、そっちのが年上じゃないですか。寧ろそっちこそ呼び捨てにしてくださいよ」
「じゃ、じゃあお互い呼び捨て…なんてどうです?」
「んー…それならまぁ…」
照れながら言うキョウガに取り敢えず妥協するアヒト。
因みにクレハはアヒトのそばで頬を膨らませている。
そしてよく分かっていない舎弟達は目を丸くした。
「え?キョウガさん、ソイツ誰です?」
「馬鹿野郎が!!」
「ガッハァ!」
質問した舎弟をいきなり殴り飛ばすキョウガ。
「このお方は俺の恩人だ!失礼な態度取ったら許さねえぞ!!」
「すっ、すみませんでした!!」
慌てふためき舎弟全員がアヒトに深々と頭を下げた。
その様子に掲示板勢も目を丸くするしかない。
「え…謎ウサ召喚氏って何者?」
「実はとんでもない大物なんじゃね…?」
目を疑うような美少女を彼女に持ち、野蛮な連中を従えている男。
実はヤバい相手なんじゃないかと若干距離を置く面々。
「え、待って!みんな誤解してない!?」
因みに慰めてもらっていた筈の英雄王はライゾフの陰に隠れて震えている。
「あっははは!!お前やべぇなアヒト!番長じゃん!謎ウサ番長!」
「何だよ謎ウサ番長って!!」
事情を全て知っているカイトだけは大爆笑だ。
まぁその反応のおかげで不穏な空気も霧散したが。
「よぅしみんな!今日は謎ウサ番長をリーダーとして頑張ろうぜ!」
「「「おー!!」」」
「いや何で皆んな賛成するんだよ!?」
「アヒトさ…アヒトに従うのは至極当然だ!そうだろうお前ら!?」
「「「はい!!」」」
「ややこしくなるからキョウガは黙って!!」
悪ノリする連中と本気な連中に囲まれて頭を抱えるアヒト。
しかし彼らのおふざけは止まらない。
「よし、じゃあ謎ウサ番長が旗印だとわかるよう皆んなでウサギの被り物しようぜ!」
「今回のイベント参加賞の月ウサギで統一するか!」
「それがアヒトさ…アヒトのシンボルなのか!よし、全員被れ!」
「「「はい!!」」」
「ほんとに辞めて!?」
アヒトが止めるのも聞かず、次々と額に三日月模様の付いた白ウサギの頭を被るプレイヤー達。
貰ったコスチュームは全身の着ぐるみなのだが、当然のように全員頭しか装備しない。
「…っ、クレハとユメナちゃんは」
「「え?」」
「あぁもう手遅れ!!」
アヒトは救いを求めて女子2人の方を見るが、アヒトを筆頭にする事に悪い気がしないクレハもウサギ頭と化し、カイトのやる事に反対する筈のないユメナもとっくにウサギ頭だった。
「お前はリーダーってわかるように金のウサギ被ってな?」
「ウソだろ!?俺だけ金なの!?」
カイトの提案に更に衝撃を受けるアヒト。
話を聞いていたオークとミードは感心する。
「というか、ゴールドラビットコスチュームGETしてたのか」
「すごいな」
というのも、そのコスチュームは春に開催されたイースターエッグイベントで卵をより多く見つけた上位100人のユーザーのみが持っている物なのだ。
因みにアヒトだけでなく4人全員GETしている。
そんな話をしている間に、離れた所でゴブリンスラッシャーと森のパン屋さんがイタズラおもちを発見する。
「あ、いた!」
「みんな見つけたよー!」
発見されたイタズラおもちはアタフタし出した。
[く、くそぅ見つかったか!こうなったら…!!]
そんな台詞を言いながら月の石をゴクンと飲み込む。
すると、本当に巨大化しておもち怪獣となった。
その場の全員が戦闘エリア内に入っていると見做され逃げられなくなる。
そして、ウサギ頭達は戦闘を始めずアヒトを見た。
「さぁ番長、変身して指示を!」
「番長!!」
「謎ウサ番長!!」
こうなってしまってはアヒトも断る事など出来ない。
「〜〜っ、わかったよ!」
ヤケクソになり、金のウサギ頭に変身する。
「行くぞお前らぁー!!」
「「「「おー!!!」」」」
その日、金のウサギ頭を筆頭に月ウサギ頭達がおもち怪獣と戦闘するスクショは滅茶苦茶バズったという。
因みにアヒトは召喚術士なので、金のウサギ頭が月ウサギ頭達を大量召喚してるようにしか見えなかったらしい。