妖怪
翌日。
「ということで、今日はおひとりです。ウヅキ、ミツキとは一緒に東の国に来てないからね」
暇なので配信していた。
一応、ウヅキ、ミツキには連絡は入れたが、今はアクアクアにいるということだった。時間がかかるからいけないという断りの電話があった。
なので一人。
「今日は何するか決めてないんだけど……。まぁ、歩いてたらイベントに出くわすでしょ。多分」
ということで街を歩くことにした。
東の国を見せながら、ゆっくり歩いていると。
「にゃにゃ~~~~!? そこを退くにゃ~~~~!!!」
と、上から声が聞こえる。
私はその声につられるように上を見上げると、上空から女の子が降ってきたのだった。女の子はもろに私の上に着地する。
「ごふっ」
『親方! 空から女の子が!』
『ほんとにイベントに出くわして草』
『猫耳のかわいい女の子だ!!!』
私は女の子を退け、立ち上がる。
女の子は頭をさすり、いてて……といって立ち上がった。女の子の頭には猫耳がつけられており、お尻のほうには尻尾。だがしかし、尻尾が二又に分かれている。
私はその猫みたいな女の子に手を差し伸べた。
「だいじょうぶ?」
「だ、大丈夫にゃ! それより君こそだいじょーぶ?」
「だいじょぶだいじょぶ。気持ちよかったから。それで、その耳と尻尾は?」
「これにゃ? これはうちの象徴にゃ!」
「獣人?」
「違うのにゃ! うちは妖怪! 妖怪猫又! もともとは普通のにゃんこだったのにゃ。でも、長く生きて、妖力を手に入れて人間になることができたのにゃ! まぁ……耳と尻尾は隠せてにゃいけど……」
妖怪……。
「あ、そうにゃ。妖怪に興味あるのにゃ? ならうちらの世界に来てみるのにゃ! たくさんの妖怪がいるのにゃ」
「へぇ」
「こっちにゃ!」
その猫又はこっちだといって案内してくれたのだった。
路地裏にいき、入り組んだ道を歩く。そして、私の目の前に現れたのは空間の裂け目。丸い穴が空間に空いており、黒く染まっている。
猫又はその空間の中に入っていく。私もとりあえず入っていくことにしたのだった。
《妖怪の世界では妖怪に強制的に変化します》
《あなたがなる妖怪は九尾となりました》
《種族を任意で変更できるようになりました》
というアナウンスが聞こえる。
私はそのまま、その空間を進んでいくと、薄暗い大地にたどり着いた。そして、私にはなかった尻尾が九本生えている。
九尾といっていたな。九尾というのは尻尾が九本あるキツネの妖怪。どうやら私の種族は変化したらしい。
種族を任意で変更できるようになったっていうアナウンスもあったな。
『九尾のじゅんぺーなかなか似合ってて草』
『そりゃ見た目いいからキツネ耳と尻尾ついたら最強なんだよな』
『種族を任意で変更できるようになるってすごくね? もしかして、妖怪は強制的に変化させられるからってことかな』
『妖怪変化ってところか。変化する妖怪は完全にランダムなのかな』
『俺たちも早く東の国いって妖怪になりたいぜ!』
コメント欄も大盛り上がりだ。
妖怪変化ってもしかして特殊な種族変更なんだろうか。
「まずは妖怪世界を治めるじょおーさまにあいさつするにゃ。妖怪の決まりなのにゃ」
「ん、わかった」
とりあえず妖怪の女王様に会いましょうか。




