変態は欲求不満
ちょっとエロイです。ガイドライン違反は多分してない
武士の試験が終わり、私たちはお城から出ると、目の前には縄でぐるぐる巻きにされて引きずられる男の姿があった。
後ろを歩く男は旗を持っており、市中引き回しの刑という文字が書かれている。
市中引き回し。それは囚人を縄で縛り、処刑場に連れていくものだ。
衆人環視に自分は罪人だということをアピールさせ、惨めな思いをさせてから処刑する。なかなかえげつなくて私好みの処刑方法。
私は思わずその市中引き回しに魅入ってしまった。
「いいな……」
思わずそうこぼす。
あれをやられたらどれほどまで私は苦痛を味わうのだろうか。とてもみじめで、痛くて、死にたくなって。その辛さは想像を超えるのだろう……。
私は思わず、自分がああいうことをされている姿を想像してしまう。そして、なんだかものすごく興奮してきた。
「んあっ……らめぇ……」
「どうしたの!?」
「ああ、そんな苦しみ、体験したことのない苦痛! 考えただけでゾクゾクしちゃうっ!」
「随分と恍惚な笑みを……。不気味であるな……」
あああ、脳みそが溶けてしまいそう。
見てしまったからこそ、興奮が止まらない。最近、ご無沙汰ですからね。ええ。妹に包丁で腹を刺されて、それ以降苦痛を味わうことはなくなってしまった。
二週間もお預け食らっているのだ。そりゃ溜まるもんよ。
「え、もしかしてマゾヒストって想像でもイケるの!?」
「随分とまあ高尚な……」
「ちょっと不気味……」
こりゃたまらんな。
こうしちゃいられない。私だって溜まったものを出さなければならない。やることはただ一つだろう。
私はアトラク=ナクアを呼び出した。
「アトラク=ナクア。私を糸でぐるぐる巻きにしてさ、引きずって♡」
というと、アトラク=ナクアは戸惑ったように固まりながらも私を糸でぐるぐる縛り上げた。
そして、そのまま走り出す。
私の体は抵抗できなく、宙を舞う。そして、地面に引きずられていく。
土が体に当たって痛い。
だけれど、私の体は高まっていくばかり。私の溜まっている欲求はこんなもんじゃ足りねえぞ! 私は全力で神経を集中。だがしかし、気分は、体は高まっていく!
私が楽しんでいると、目の前の視界が一気に暗くなった。
「んあっ!?」
現実世界に引き戻されていた。
なぜ? ダメージは受けていなかったはずなのに。私はヘッドギアを見ると、体温の異常な上昇と脳波に異常をきたしたみたいで、強制的にログアウトさせられたようだった。
くそ、興奮するなっていうのか!? それは無理な話だろ! マゾヒストにとってゲームはああいう風にされても死なないから助かるんだぞ!
ああ、くそ。ちょうどいいときに! イケそうだったのに!
私はまだ気分が高ぶっている。
私は考える。そして、財布をもって外に出たのだった。




