肝試し ②
三人にはまだ悟られていないが、何かついてきている。
多分、結構やばい霊。こういう場には寄ってきやすいし、学校ていう舞台はそういうのあるよなーなんて思いつつ、どうやって巻いてやろうと思っていると。
ガララ。
「な、なんか勝手に開きましたよ……?」
「こ、ここ、これも科学的根拠で……」
「建付けが悪く、少しの風でも開くような感じになったってのは無理があるよね」
だがしかし。
三人がなぜかその教室に入っていく。怖いと言いながらも、体が勝手に動くっていって教室の中に入らされたのだった。
歓迎されているのか、それとも……。
「これ、私を締め出そうって感じしてるな。そうはいくか」
私は急いで教室の中に入っていったのだった。
すると、どこからか舌打ちの声が聞こえる。多分幽霊たちにとって私の存在は嫌な存在なんだろうな。たぶん聖なる存在になってる。聖なるっていうか多分性なる?
「う、うごかな……」
「たすけ……」
「ひいいいいい!?」
「うろたえない。とりあえず私の手を握って。大丈夫。そういう金縛りって極度の緊張による筋肉の硬直。落ち着けば大丈夫」
「……あ、ほ、ほんとだ」
金縛りから動けるようになった三人。
さて、どう出てくるか。灰田さんは扉を開けようとしているが鍵がかかっているといっていた。鍵を開ける方法はないのだろうか。リアル脱出ゲームかな?
だがしかし……。ここまでのホラーがあるとは。多分こん中に幽霊にものすごく好かれる人がいる。多分それは稔だろうな。
私がそう考えていると、どこからか本が飛んできたのだった。
本は私の頭に当たり、私は思わず転んでしまう。
「ぽ、ポルターガイスト……」
「本が空中に浮いてる!? ひいいい!?」
「大丈夫! 狙いは全部私だから」
私は立ち上がり、手を広げる。
「さぁこい! 本を投げたら私が喜ぶぞ! へっへっへ。ほら、投げて来いよ! 私をもっと興奮させろ!」
ガチャリ。
鍵が開いた音が聞こえた。扉がどうやら空いたようだ。くそ、なんで痛めつけてくれないんだ。そういうのはお前らの得意分野だろうに。
もっと痛めつけられたい……。そんな欲望がなんだか知らないが、幽霊を払っていく音がした。
「ん、いなくなりましたよ。いきましょうか」
「すごい冷静……」
「潤さんすごーい……」
「潤ねえまって!」
私は少しうなだれる。
もっと本をぶつけてほしかった。もっともっとほしかった。なぜおまえらはじらしプレイが好きなのか。そういう趣味なのか?
くそ、私がこんなにお前らを熱望しているのに……。もっと私を痛めつけろ、もっと感じさせろ……!
それからというもの、特に霊に襲われることがなく、肝試しは終わりを告げた。
明日、帰ってすぐゲームで憂さ晴らししよ……。




