エゴイズム
私たちは王城の禁書が集められている部屋に入った。
「ここが禁書を扱う部屋だ。取り扱い要注意のものもある。最低限しか調べないでほしい」
「わかってるわ」
禁書を漁るヒステリア。
禁書庫に入る条件として、騎士団長であるフリッツが一緒にいることが条件となった。調べ物はヒステリアに任せるとして、私は騎士団長と話をすることになった。
椅子を引き、私は椅子に座らされる。
「お茶はここでは出せない……。万が一濡らしてしまったら困るからな……。そして、まずは謝罪を。炎龍人である貴殿を傷つける行為、誠に申し訳なかった」
「いいですよ。私も悪いので」
「それで……。炎龍人となったということは炎龍と出会ったのだろう。どうだった? 姿かたちは伝説のままだったか?」
「伝説は知らないんですけど……。蛇みたいなうねうねしている長い体もってましたね。ものすごく強かったです」
「炎龍様は強いのだ!」
炎龍の話題が好きなのか、騎士団長フリッツはたくさん質問をしてきた。
炎龍人となった感想はとか。自分もなれるだろうかという質問も。さすがになれないと思う。私たちは生き返るからこそ捨て身になれたが、フリッツさんは生き返ることができない。
死ぬリスクを冒してまでなるものではないだろうし……。それに、騎士団長という役職である以上厳しいということを告げる。
「そうか……。まぁ、炎龍様は公平なお方であるからな。私であっても殺しにかかるだろう。わかっているとも」
「これね。炎龍の紋章……。炎龍人にのみ与えられ、炎龍人はやがて龍となる……。紋章を覚醒させたとき、龍と成る力を得るだろう……」
「ということは」
「レベル50になったら……。龍に変化できるかもしれないわね」
「移動方法とかどうなるんだろ。四肢で歩いてるよね私って」
「トランスフォームもできるというゲームなのね。興味深いわこの世界」
人はやがて龍と成る。
それは多分私も例外ではなく。レベルを50にしたとき、龍と成るんだろう。
「ほかにも気になるものはあるけれど……。それを調べていたら約束と違うわね。素直にあきらめるわ」
「調べ物は終わったということでいいのか?」
「ええ。無茶を言って申し訳なかったわ」
調べ物が終わって、禁書庫から出たのだった。
騎士団長も仕事があるといって、王城前で見送られる。また、話を聞かせてほしいと、私は騎士団の詰め所に入る権利ももらいながら。
「さて……。私もこれ以上あなたと行動する理由は今はないわね」
「行くの?」
「ええ。そろそろお昼時だし、お昼ご飯を食べなければならないの。じゃ、楽しかったわ。また、私の考察に付き合って頂戴ね」
そういって、ヒステリアは去っていった。
ヒステリアはあんなクール美人のくせに、割とエゴイズムが強いと感じた。自分の満足のためなら手段を択ばなさそうだとも感じた。
だがしかし……。悪いやつではきっとないのだろう。変な奴と出会うことはあってもマジの悪人と出会ったことはないからな。
「YeyTubeをやってるやつって、みんなエゴイストだな」
まぁ、そうなる理由もわかるけれど。




