炎龍の紋章 ②
変な茶番は終わりにし、私たちは階段を下っていく。
階段を下ると、なにやら変な空間が広がっていた。部屋の真ん中に赤い正八面体が浮いている。これがもしかすると炎龍が守っている証のようなものなのだろうか。
「このクリスタル……。触ってみてくれるかしら」
というので、私は赤いクリスタルに触ってみる。
すると、私の手の甲に、あの扉と同じような紋章が浮かび上がったのだった。
《炎龍の紋章を取得しました》
《レベル50になったときもう一度訪れてみてください》
というアナウンスが。
レベル制限、やはりあるか。私はさっきのアナウンスのことを告げる。レベル50になったら来てくれというので、出直すしかなさそうだ。
今のレベルはまだ29くらいだからな……。もっとあげないといけない。
「ただ紋章を取得しただけなのね。紋章を取得することに関しては何の制限もないのかもしれないわ。ただ、その紋章は文献にちょびっとだけ載っているぐらいの情報のない代物……。王城には入れればまた違うだろうけど……」
「入れるんじゃない? 私がいれば」
「なぜ?」
「この国は炎龍が作ったって言われてるんでしょ? だったら炎龍の紋章を見せたら私が神格化されて入れるんじゃない?」
それに、紋章を手に入れさせておいて何の情報も与えないというのは考えにくい。どこかしらで情報をもらえるはず。
その情報をもらえる可能性が一番高いのが王城だということ。よくある話だが、日本にも国立図書館なんてものがあって、そこに全部の本が寄贈されるというものがあるように、この国も同じシステムをとっていて、禁書と呼ばれる文献もあるのかもしれない。
「入れそうだけど、だからといって急に炎龍の人です、とか名乗る人物が現れたら不審がられるわ。この紋章は知名度こそないけれど……国にとっては一大事なはずだし相当怪しむはず。本物だからいいけれど、偽物だったら死罪はくだらなさそうね」
「ダメってこと?」
「まだダメだと思うわ」
そうかー。入れると思ったんだけどな。
「だから手に入れられる情報はあなただけ。50になったら私を誘ってまたここに一緒に来てほしいの」
「ん、それぐらいならいいよ。とりあえずフレンドなっておこうか」
「そうね」
フレンド登録をしておいて、私はとりあえず用済みなのでこの部屋から出ることにした。
私が部屋から出ると、勝手に石扉は締まっていく。そして、帰り道である下水道を歩いていた。
「それにしてもなんでそんな炎龍の紋章がある部屋がこんな下水道なんかに?」
「国としてばれたくないのかもしれないわね。国にとっても大事なもののはずだし、本来あってはならない場所にあったほうが守れるという魂胆ね」
「なるほど……」
木を隠すなら森の中理論をやればいいと思うのは私だけだろうか。
私たちは下水道から出た。明るい日差しが私たちを包み込むと同時に、私の首元に突然槍を突き付けられる。
「……なんですか?」
「来てもらおうか。我々とともに」
「……兵士?」
「私は王国騎士団副団長のグラヴェル。お前たちがここで何をしていたかを聞かせてもらおうか」
「……?」
なんかイベント発生してるんですけど。




