動画編集
炎龍人となったことはすぐに話題となり、掲示板やSNSで騒がれ、トレンド入りするまでになった。
朝起きて、録画していた昨日のテレビ番組をかけつつ、朝ごはんを作っていた。
『最近、私ゲームの配信をよく見てまして。オススメな人がいるんですよ。ものすごくゲームうまくて、私の友達より強いんじゃないかって言うくらい!』
『どんな人?』
『じゅんぺーさんって言うんですけど』
録画したのは私が紹介されてるから。
一応、感謝のメッセージを送ってくれという依頼があったので適当に撮って送ったけど放送されるのか?
テレビでは、私に関する情報が流れる。
『じゅんぺーさんはとてつもない変態で、子供に見せたくないランキングでは2位に入るくらいには結構えげつないですけど』
『どんな変態? すっぽんぽんとか?』
『こう、殴られる、蹴られるのが好きなんです』
「私の性癖をテレビで晒されてるなんてめっちゃ恥ずかしくて興奮するな」
マゾヒストって素直に言えないよね。テレビだからね。
私の動画の紹介もしていた。私のゲームプレイの切り抜きを見ていたり、スーパープレイと称された動画を見ていたり。
『ここ、人間業じゃないですよね! 双剣をメインで使ってるんですけどね、こういう風にはできませんよ!』
『運動神経いいんだ。すごいな』
『そしてじゅんぺーさんは料理がとても美味いんです! 次の映像は酒飲み雑談配信で作った料理なんですけど』
と、私の料理が晒される。
『余り物で作ってるらしいんですよ! キュウリとかブロッコリーとか!』
『スタッフ、これあとでこっそり俺にだけレシピ教えて』
テレビらしいノリが続き、アナウンサーの人が映像があるんですといい、私のVTRが流れ始めた。
『花本 衣織さん、私の紹介ありがとねー! あらためまして、本名、和平 潤こと、じゅんぺーです! 私は主に配信をメインとして活動しています。最近、仲間を増やすつもりですのでお楽しみにっと……。これでいいのかな。わかんねー。とりあえず、ばーい! あ、このサイン入りの色紙も送っておくぜ! 返品不可です』
と、VTRが切れる。
まぁ、テレビだしそういうのは避けておきました。ちゃんとTPOは弁えますとも。
「よし」
私はテレビを消し、朝ご飯を作る。
簡素に卵かけご飯。ご飯をよそい、醤油をちょっと多めに垂らして穴を開けて卵を垂らす。
黄金に輝くご飯。美味いんですこれが。
「さて、ご飯も食ったし、動画編集っと。約束の木曜日まであと一日しかないし」
私はパソコンに向かい、撮り終わった動画を編集する。
配信をメインでやってるから編集力は多分並ぐらいしかないとは思うけどそれでいい。
私は分かりやすくをモットーにしているので、少々ボケとか挟みつつもただただ分かりやすく紹介している。
私がやることはいらないところのカットや、字幕をつけたりすることぐらい。
しばらく作業しているとスマホに電話かかって来た。
「あいあいー、ウヅキなんのよーう?」
『あ、今日はやらないんですか? ということでして。朝のうちに確認してミツキと打ち合わせしようかと』
「今日は配信しないかな。ちょっと忙しいしね〜。それに、君の同級生が配信見てたらミツキの方が肩身狭くなるだろうし、今日はミツキのフォローしてあげて」
『はーい! 配信するんだったら教えてください! 私たちも駆けつけられたら駆けつけるので!』
「オーケーオーケー」
電話を切る。
律儀に確認してくるなんて偉い子だな。私はエナドリを飲みながら再び作業に熱中していた。
期日は明日。今日の夜までに完成させて、予約投稿してゲームしたい。
「久しぶりの編集めっちゃ疲れるなぁ……。眠てえー。何したらいいかぜんっぜんわかんねー。動画、最後に投稿したの二ヶ月前か。二ヶ月前の自分もこんな感じだった気がする。孤独すぎるぜ……」
一人で編集するというのは孤独を感じるのだ。
私が動画編集に明け暮れていると、また電話がかかってくる。
今度は所属事務所の私のマネージャーからだった。数年前に有名事務所から入らないかと言う誘いを受けて、面倒な確定申告とかしてくれると言うので入った事務所。
私の事務所も大手なんだけど、事務所の中でチャンネル登録者が一番多いのが私だったりするのはちょっと自慢。
「あいあいー、なんですかー」
『あ、もしもし。じゅんぺーさん? 今暇ですか?』
「暇じゃねー。動画編集してる」
『あ、配信で動画投稿するとか言ってましたね。この前』
「そー。久しぶりの編集作業だからマジで滞ってて……。暇だったらなんかあったのん?」
『いえ、社長がチャンネル登録者数300万人突破記念の記念品を贈りたいそうで』
300万?
私は急いで自分のチャンネルを見る。すると、そこには3,000,073という数字が映っていた。
これが何を意味するかは。
「すげえ! なんか突破してる! なんで!?」
『昨日のテレビの影響かもしれませんね』
「あれか! 女優効果すごいな。一時的とはいえチャンネル登録者数が一気に7万増えた」
今日まで2,930,005くらいだった気がする。
「毎回不思議なんですけど、なんでこんなに見られてるんだろな。配信しかしてないのに」
『今のご時世、VRMMOがものすごく流行ってますし、生活の一部となってる人が多いですからねー。やっぱ身近なジャンルで名を残してるのが大きいんじゃないですか?』
「なのかな」
『で、記念品は明日受け取りに来ます?』
「明日いく。マジで期日は守らないと。あと少しなんだ。集中するからマナーモードにします」
『わかりました』
電話を切り、マナーモードに。
私はエナドリを飲み干し、編集を再開させた。




