じゅんぺー流初心者講座
やはり発売日だからか、街に戻ると人でごった返していた。
流石にサーバー分けはされてるだろうけど、それでもなお多いと感じる人混み。早いとこ始まりの街からは出た方が良さそうだ。
「ここでじゅんぺー流、ゲーム初心者行動!」
『お?』
『なんだ?』
「バトルとか苦手な人はとりあえず何回も死んだ方がいいぜ! これはマジで。苦手な敵とかは死んでパターンを覚えたりとかした方が安定する。それに、あらゆる武器を使ってみないと自分に合う武器がわからないからそれも含めて何回も死ぬことだ!」
『これはそう』
『まともなこと言ってて草』
「それに、このゲームはバトルだけが醍醐味じゃねえ! 鍛治職人や大工、料理人などの職業もある! なにもバトるだけがゲームじゃねえ!」
勘違いしがちだが、ゲーム=戦うというわけではない。
各々好きなように楽しんだ方がいい。私はあくまで自分が楽しいから戦闘職についているだけ。
「あと、キャリーされるのは構わねえ! けど、キャリーばっかだったらゲームしてる意味がねえからな! 戦うんなら戦え! 戦わねば与えられん!」
『これもそう』
『うちの友人、オタサーに入っててマジで姫プレイしてるやつをキャリーしてんの。このゲームでもキャリーしてやるかとか言ってて怖かった』
『キャリーだけされるやつって何考えてんのかね』
「そりゃ男たちからチヤホヤされたいからだぞ? チヤホヤされることで自己満足を得てるわけだ。私の健全なる視聴者はきちんと自分でやることだ。もしも自分じゃ自信ないとかいうなら、私以外にも強い奴はいる。そいつの動きを真似た方がいい。私は双剣なら動きを見せられるけど、他の武器は使えないからね」
ここは真面目に言っておかないといけないところ。
私だけではなく、他のみんなにもゲームが上手くなって楽しんで欲しいという本音がある。
「自信ないなら他の人の動画見て動きを研究すること。武器によって割と動きのテンプレとかはあるし、現実で可能な範囲でシミュレーションでもしておくと体も動かせて一石二鳥だ」
『マジの有用なアドバイスで草』
『こういうとこ真面目なんだよな』
『どマゾモードん時はマジでなんだこいつと思うけど、こういうガチのアドバイスもしてくれるから好き』
『¥10,000 ありがとう。俺片手剣の人の動画を見て研究するわ』
「おう。スパチャありがとな。片手剣は双剣と少し似てるけど、盾の使い方はちょっと難しいって聞く。私には関係ないけど、防具にはスキルもあるようだしスキル構成とかは調べた方がいい」
私はスキルは殆どつかないけどな。
今作はNPCからもらえるスキルと防具でつくスキルがあると聞いた。
防具スキルも優秀なのはあるだろうしあった方がいいだろう。
『俺双剣使いなんだけど、コツとかある?』
『俺も知りたい』
「コツ? あー、双剣は結構難しいからな。別々に動かす必要があるんだよ。双剣はとにかくヒットアンドアウェイを意識すること。火力はある武器だ。手数がどの武器よりもあるからな。そして、たとえば右手の剣を防がれたときとかに、蹴りなども視野に入れることができる。大剣とかじゃ力負けするから受けることは出来ないけど、他の武器より圧倒的に軽いからとにかく手数で攻めたり素早さで攻める」
双剣のいいところは手数と身軽さ。
他の武器じゃこうも行かない。
「よし、じゃ、じゅんぺーの初心者講座終わりッ! 今から始まりの街でも探索するか。こういう初めてくるマップは大方どこに何があるか把握しておいた方が利便性が高いしね」
『まともモード気持ち悪い……』
『変態にもどれ!!』
と、変態に戻れとかいうコメントが来る中、一通のコメントが来た。
『俺も配信してます! ぜひ来てください!!』
『この人より上手いです!! ぜひ来てください!!』
というコメントがきた。