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洞窟を越えて

 私の運の悪さは今年に入っても存在しているらしい。


「ちょっと待って、落とし穴があるなんて聞いてないし、なんで下がマグマなの!?」

「火山だったみたいですね……。ってこれワンチャン死なないっすか?」

「私は種族のおかげでマグマ平気だけど!」

「ずっる!」


 だからといってマグマだまりに落ちたいわけじゃないんだよ!

 私は鋼水の糸を出して壁に引っ付ける。そして、そのままじゅんぺいを片手で支えた。なんとかマグマだまりに落ちずに済んだが、このマグマだまりだと熱でこの糸が溶けそうだ。

 私は急いで上がることにした。蜘蛛に変身し、壁をよじ登る。戦闘以外で蜘蛛になるのは初めてだよ。


「正解は右の道でしたね……」

「二択を外しちゃうなんてついてない……」

「いや、ついてないじゃなくて、これが私なんだよね」

「……え?」

「二択を迫られると必ず外すんだよね」

「もうこの人に選択させないほうがよいのでは?」


 ごもっとも。

 私は来た道を引き返し、分岐点に戻って右の道に向かう。右の道は何の変化もなく、ただただ普通の洞窟の道だった。

 いやぁ、左が正解だと思ったんだけどね……。


「じゅんぺーさんって相当運悪いんですか……?」

「うん。君のニセモノ騒動を含めて本当に毎日のようになんか不幸が起きるね」

「うっ」

「妹に腹を刺されたり、バンジージャンプのひもが切れたり……。誘拐されたりいろいろと」

「ネットニュースになってましたけど……! それでも多くないですか!?」

「マジで多いよ」


 私がそういうとコメント欄も少し慰めに入ってきていた。

 去年も色々あったが今年も色々あるんだろうな。今年こそは死ぬような目にだけはあいたくないな。バンジージャンプのやつは正直興奮したが、あれは普通に死ぬと思う。私って耐久力は尋常じゃないからな。普段から鍛え上げてるし。


「うげ、また二択」

「今度は私が選びますよ! 右です!」

「おっけー。右……じゃなくて左だな!」

「なんで!?」

「逆張りオタクですから。それに、投稿者としても罠にかかったほうがおいしいし、またあのスリルを味わえるかもしれないし! 左いこー!」

「……これがプロの配信者」


 私は左に向かう。

 左の道を歩いてみるが、何も起きない。落とし穴のようなものもなければ、罠らしきものはなにもない。

 あれ、もしかして正解選んだ感じ?


「……二択当てちゃった」

「みたいですね……。二択外すとはいったい……」

「罠にかかりたかったんだけど。あれ、もしかしてこれって勝負に負けた?」


 試合に勝って勝負に負けた感じがする。


『草』

『そういうフラグを立てるから』

『フラグ回収乙~www』


 フラグを立てちゃったのいけなかったかぁ。

 私たちは歩いていると光が見えてきた。人工的な光ではなく、太陽の光。私は走って外に出ると、そこにはたくさんの建物があった。

 ようやく、ノスランドについたというわけだ。雪国ノスランド。山を越えた先にある王国だ。


「雪がすごい……。ひざ下くらいまで積もってますよ」

「そりゃ雪国だしねぇ。とりあえず進もう。宿屋でリスポーン地点を登録しておこうか」

「はい!」


 ここで死んだらまたやり直し。

 キンシで山越えしても問題はないが、歩いてくるのもこれまたゲームの醍醐味だ。何も楽すればよいというものじゃない。


「よし、楽しもう雪国ノスランド!」









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黒猫は眠らない
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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