追いはぎゴブリン
パンブ山ふもとの洞窟。
この洞窟が、ノスランドに行くための唯一といっても過言じゃない道だ。洞窟内は入り組んでいるらしいが、登山して山を越えていくより洞窟ルートで行ったほうがはるかに楽らしい。
「氷柱とかたくさんありますね」
「落ちてきたらさぞ気持ちいいんだろうなぁ」
『死ぬぞ』
『落ちてくる妄想をすでに始めてるあたりもうだめ』
氷柱が天井にできている。
私たちは先へ進んでいくと、足元がつるっと滑り、私は地面に頭をぶつけた。私は起き上がり足元を見てみると、なんと地面が凍ってつるつる滑る仕様になっている。
すげえ。
「地面が凍ってる!」
「あ、足元気を付けていかないといけませんね」
「気を付けるなんてことはしないぜ!」
凍ってるならやってみたいことがある!
私は少し後ろに下がり、助走をつけて、地面が凍ってるところで勢いよくスライディング! つるつると、滑り、私は勢いよく洞窟の壁にぶつかった。
「いてええーーーーーーー! 気持ちいいーーーーーーーー!!」
『雪でテンション上げる変態の図』
『氷って変態のテンションをこんなに上げるの?』
『じゅんぺいはそのままきれいでいてくれな』
「じゅんぺい! 気持ちいいよ!」
そういうと、じゅんぺいはやってみますといって、私と同じようにつるつると滑り、壁にぶつかる。ぶつかったじゅんぺいはその場に倒れこみ、笑っていた。
「気持ちいい、です」
『完全に染まるな』
『オリジナルと同じになったらもうおしまいだぞ』
『オリジナルの変態要素だけは真似るな』
「みんな……! 私にそんな暴言を吐いてくれるなんて優しいね……!」
『やべえ! みんな褒めろ!』
『じゅんぺーすごい! 強い!』
『かーわいいー!』
「ありがとう」
『どっちに転んでもダメじゃねえか!』
私たちは気を取り直して先に進むことにした。
洞窟内で不安なのが、魔物。道が狭いから逃げることは難しいかな。それに、狭いからあまり動けないだろうし、道をふさぐような魔物が来たら嫌だなぁ、なんて思いつつ歩くと、棍棒を持ったゴブリンみたいなのが立っていた。
「魔物やっぱ出るんだ!」
「あれは追いはぎゴブリンですね」
「ああ、寒いところに生息していて、寒さから身を守るために人を襲い防寒具を奪うってやつ……。なんで雪山にいるのかわからないバカみたいな魔物……」
最初から暖かいところに生息しておけ。
追いはぎゴブリンは体をさすりながら、棍棒を振り回してくる。私は双剣で受け止めてもう片方の剣で切りつけ殺す。
切りつけた傷が凍り、そのままゴブリンは倒れたのだった。
「うわぁ、一撃」
「攻撃力はあるからね。魔物が出るってことがわかったんだ。気を付けて進まないとな!」
「はい! でも……。二つに分かれてますね、道。どっち行きます?」
目の前には二つ道がある。
このパンブ山の地図なんてないからどっちいけばいいなんてわからない。どっちいっても通じるのならどちらでもいいんだけどね。せめて立て看板とかあってくれたらいいんだけどぉ。
「んー、じゃ、左かな」
「了解です!」
私たちは左の道を選んだ。




