新年を迎えて
前にも言ったが、人間はいつだって死ぬ。
今日死ぬかもしれない。明日死ぬかもしれない。病気で、交通事故で、事件に巻き込まれて……。ありとあらゆる方法で神はいたずらに人を殺す。
私はいつだって満足したい。
だからこそ、毎日自分の性癖に正直に生きるのだ。
「いやぁ、新年! ものっすごいいい感じで始まったねぇ!」
『全然よくないが?』
『除夜の鐘でも鳴らしてこい』
『新年早々人が死ぬところを見させられる視聴者の身にもなれ』
ひどい謂れようだ。
だがしかし、先ほどより同接数が減ってないところを見るに本気で嫌な人はあまりいないとみた。私を理解しているからこそ、文句を言うだけなんだろうな。
『瀬野先生はそういや新年早々ゲームしないのか?』
「ゼノ? ゼノはクリスマスに告白してそれがネットニュースになったもんだから編集長にめっちゃ怒られてるし、勝手に生原稿プレゼントといったもんだからまた全部原稿描いてる。新年早々仕事場に缶詰め状態だよ?」
『草』
『楽しみに待ってます』
「お、当選者が来たねぇ。まじの原稿だからね。今同じ話を描いてるけど」
ゼノは忙しいんだろうなぁ。
「で! 新年迎えたってことで、私からも一つ企画があるんだよ!」
私は話を切り替えることにした。
新年といえばみんなは何を想像するだろうか。初日の出? 初詣? そんなのは今はどうでもいい。新年といえば、子供がいつも楽しみにするあれがあるじゃないですか。
「新年、お年玉企画やりまーす! 今日の朝6時に予約ツイートしてるものがあって、私をフォローしてリツイートしたら参加ってことになる企画で、3000名に、1万円分のギフトカードプレゼント! そして、1名に……。ラナソニックから出る最新型VRヘッドギア、じゅんぺーサイン入りをプレゼントじゃい! サインいらないとかいう意見は受け付けません!」
『やった』
『最新型のやつほしーいー!』
『なんかじゅんぺーすげー出費多いよね』
「そうだねぇ。サンキチにお店の改装費3000万、ミツキの手術費、入院代で数十万とか飛んでるしー、親孝行として父さんが住んでる家も改装するから結構とぶしー、めっちゃお金がゴリゴリ減っていってるね。気持ちいい……」
『お年玉企画辛いならやめればいいのに……』
「辛くないよ? むしろお金がどんどん減っていくのも一種のいじめみたいなもので快楽見出してる。私のような人がめっちゃ散財するんだろうね。お金使うことも一種の快感なのだよ……。だからみんな衝動買いとかするし、欲しいものは基本買うでしょ? そーれーにー。お金を多く使うことによって経済を回してる!っていう風に思えるのが気持ちいい」
『なんかわかっちゃうのがむかつく』
お金はどんどん使っていかないとねぇ。
お金ある人がため込んでいくから経済が回らないんだよね。私はお金持ってる分たくさん使うのだよ。まだ懐には結構というか、だいぶ余裕がある。そもそも貯蓄がものすごく多いからな……。登録者400万人もいると、本当に稼ぎがだいぶ違う。広告収入だけでも日本人の平均年収ぐらいはある。
「じゃ、お年玉企画の説明終わり! 初日の出が出るまで配信続けよーー!」




