告白のその後
抽選が終わり、私は会社を後にする。
運営からちょっとだけ小言をいただいた。それは全部ゼノのせいだ。が、悪い気はしない。出るときにおめでとうございますと頭を下げてくれた。
私は電車に乗り、今から向かうから待っててと瀬野に告げる。
ネットを見ると、やっぱり私のことが大々的にニュースになっていた。もはやYahoaニュースに取り上げられている。ゲームで公開告白!クリスマスにめでたいカップル成立!なんていう見出しで。
クリスマスは誰もが浮かれるもんよ……。それは例外なく私にも言える。
「瀬野先生~」
「来たか」
「来たかって……。まぁ、来てやったけど。あんな公開告白やるとは大胆だな」
「君に意識してもらうには嫌でも周りに周知させる必要があるからね。君は隠れて交際なんてしたくないだろう?」
「そりゃ撮られるの嫌だし」
今のご時世、芸能人でなくても有名YeyTuberは週刊誌に撮られることがある。迂闊に付き合ったりとかできないんだよな。
「だからオープンだ。してやったり、だな」
「あれをしてやったりっていうな」
「すまないね。改めて……。僕はじゅんぺー……。和平 潤。君が好きだ」
「……改めて言われるとすごい照れるんだけど」
「一目ぼれだった。気分転換に動画を見始めて、君にたどり着いた。なんて美しくて、開放的な人なんだろうって。君の配信は毎回見ていたよ。そして、あの塩野編集。あの事件でやっぱり逃したくないと思った」
「……で、告白する機会を私に悟らせずに待っていたと」
「そうなるな。聡い君のことだから気が付いていると思ったが……。君って意外に自分のことに無頓着だな」
「よく言われるよ……」
私ってLIKEには気づきやすいけどLOVEには気づきにくいようだ。
「それで、今の告白の返事をもらえるか?」
「急かすなって。私も好きだよ。多分」
「多分?」
「自信がない。こういうのに慣れてないし、かといって照れるような私でもない」
「だろうね」
「私は意外とそういうまじめなの嫌いだからねぇ。ドライに済ませたいってのもある」
「ドライにするのが照れ隠しだと思っておくよ」
「そうしてくれると助かるよ」
私は荷物を置いた。
瀬野はソファに座り、携帯を眺めて笑っている。すると、瀬野の携帯に電話がかかってきたのだった。
瀬野は電話に出る。
「はい。あー、そうですね。しました。何か問題でもありますか? ないのならいいんですが」
瀬野は冷静に話して、電話を切る。
「編集からだ。事実確認のための電話だったよ。まったく……。君はなぜそこまで有名なんだ」
「そりゃ美人だから」
「自分で言うんだな」
事実だし。
「何か飲むかい? っと、外すごいな」
「外? あー」
外には雪が降っていた。
ホワイトクリスマスか。こりゃまた天も私たちを祝福しているのか? いや、まぁそれはいいとして。この雪じゃ帰りの電車絶対止まるな……。
「しょうがない。コーヒー頂戴」
「了解だ。砂糖とミルクは?」
「ブラックでいい」
瀬野はコーヒーを淹れに向かう。
私はソファに座り、呟いた。
「今日する?」
そういうと、奥のほうでドンガラガッシャンという激しい音が聞こえた。
これ以上描くと多分なろう運営から警告来ます。こいつら甘酸っぱくなりやがって。片方変態だぞ。