クリスマス大抽選会
大人になると時間の経過ってものすごく早くなるよね……と痛感する。
クリスマス当日がやってきた。ファンタジーフロンティア運営KUJIRaもこの日の抽選会のためにめちゃくちゃ広告を出していて、私もその広告塔になっている。
へましたら損害賠償。責任重大。ものすごーいプレッシャー。だけどこの重圧が気持ちいい。もっとストレスかけないと喜ばないよ? 私は筋肉。そう筋肉。もっと負荷をかけて成長させなければならないのさ!
なんてまぁ、考えてる暇もなく、そろそろ抽選会が始まる時間だ。
「このヘッドギアをかぶってください」
「はーい」
私はヘッドギアをかぶり、デモプレイ専用のベッドに横になる。
運営アカウントじゅんぺーが今ここに爆誕したのだった。私はゲームにポップすると、いきなり会場にいた。
どうやら、開幕と同時にポップする仕組みだったらしい。
カメラが回っており、ゲーム内の会場にもものすごい人が集まっている。大々的な広告効果だろうか。
この人数を私ひとりで回せって結構えげつない事させるねぇ。
まぁ、こなしてみせるけどさ!
「はいはーい! やっときましたクリスマス! 会場に来ている皆様も? 配信を見ている皆様も! メリークリスマーーーース! ファンタジーフロンティア大抽選会、司会進行を務めるじゅんぺーでーす! いぇい!」
私はカメラに大きくアピールをする。
「司会進行、抽選はすべて私がやるよ! 私の仕事量が多い! でも? こういう引く役割、私やってみたかったんだー! まぁ、私の気持ちは置いておいて。まずはこの大抽選会のルールを説明するぞい! ルールは簡単! 事前に配られた抽選コードがあるじゃろ? そのコードが私の背後の大画面に映し出されます! 映し出されたら当選! 商品がすぐに届くぞい! もちろん、あとのほうになっていけばなるほどものすごーい豪華な賞品が! いいなー、私も豪華賞品欲しいなー!」
ここまではいいだろう。なんとなくできてる気がする。
というか、超楽しい。やばい。なにこの楽しさ。動画投稿しててよかったぁー! こういう役回りは本当に大好きかもしれん……。
「じゃ、さっそく抽選していこっかー! 抽選は私がこのボタンを押すことで決まりまーす! まずはG賞! G賞は5万人にあた……ねえこれって私もしかして5万回ボタンおさないとならないの? え、マジで言ってる?」
『違いますよ。きちんと一回ボタンを押したら五万人表示されますから……。賞品は届きます』
「おっけーです。運営から一回押すと五万人、表示されるみたい! 結果が出たら商品が手元に届くから当たってるかどうかは自分だけがわかるって仕組みだね! うん。じゃ、ぽちっとな」
私はボタンを押すと、ドラムロールが鳴り響く。
そして、数字が大画面にずらーっと映し出されたのだった。
「すげ、受験みたい」
素でそんな感想が出たのだった。
会場からも落胆する声が出ている。そりゃ豪華賞品欲しいよな。ごめんな。
「G賞はここまで! 何が入ってるかは見た人ならわかると思うから割愛! まだ先は長いからちゃっちゃと進めていかないとね! 続いてF! F賞はなんと1万人! 一気にもらえる人数が4万も減ったねぇ! 減っちゃったねぇ! じゃー、ぽちっとな」
私はボタンを押した。




