クリスマス抽選会イベントをやるらしい
ファンタジーフロンティアを作っている会社名は”KUJIRa”という会社だ。
ゲーム企業としては大手とは言えないがそこそこ有名企業ではある。ファンタジーフロンティアが売れに売れて今は人気の企業らしいが。
なぜ会社の話をしているのかというと、私は今そのKUJIRaに来ているからだ。
「クリスマスイベントのサンタ役をですか?」
案件が来たからだ。
ゲーム配信している私に一通のメッセージが。運営からであり、配信者じゅんぺー様に依頼があるということ。その依頼内容の確認のために会社に出向いてきたのだった。
会社の雰囲気はのほほんとしている感じで、休憩中にヨガをしている人もいた。結構ホワイトなとこだなーと思いつつ、今はたいして繁忙期じゃないからだろうとも。さすがにゲーム会社は繁忙期な時ほど忙しいからなー。ゲーム開発しているときとか。
で、その会社の応接室に案内されてファンタジーフロンティア担当の部長さんと部下さんが依頼を出してきたというわけ。
「運営が用意するプレゼントを抽選して手渡すだけでいいんですか?」
「プレゼント抽選会場を用意して、そこで配信しながらプレゼントを配ってほしいんです。抽選で」
「いいですけど……。私は……」
トナカイのほうがよかったな……。首に首輪をつけられて無理やりソリを引かされて……。ああ、なんてすばらしいと子供ながらに思ったこともあるのに。
サンタかよ。トナカイがいーい!
「トナカイで首輪オプションをつけてソリを引くのはダメですか……」
「さ、さすがにそれは……。一応全年齢対象なので……」
「くっ……。せめて首輪だけでも……」
「だめです」
「そんな……」
飼い犬にはなれない。
「プレゼント抽選の司会ですね……わかりました……」
「そう露骨にがっかりしないでもらいたいのですが……」
「首輪……。最近欲求不満なもので……」
「だめだこのドM……」
「なぜこんな変態が人気配信者なんだ……」
自分でもそう思います部長さん。
こんな変態が何で人気なんでしょうね。
「……あ、その私がもらえるサンタ装備って互換装備ですよね? 普通に装備するやつじゃ……」
「……装備です」
「なんてことだ……」
「戦うわけではないのですからお願いします……」
「はい……」
と、企画の話はものすごいローテンションで進んでいったのだった。
25日に行われるクリスマスプレゼント大抽選会。夜の7時から9時までの間、私に司会と抽選箱を引くという役割を任せられた。
配信しているからそういう場も慣れているだろうし、見た目もいいからということ。
KUJIRaの女性社員も見た目は悪くはないが、そういった場に慣れていないということもあり、私になったようだ。
「25日にこの会社に来てログインすればいいんですね?」
「社用特別アバターであなたを作りますので、そのアバターを操作してください。私どものYeyTubeアカウントで生放送しますので」
「オッケーでーす。最後に少し汚いお話になりますが……」
「報酬ですね。このぐらいでどうでしょう」
と、提示された金額は1200万。
マジか。いや、こういう相場って登録者数×1,5~3円とかで、私の登録者数は珍しく400万こえてるから……。海外視聴者もいるからなんだけど。
すげー……。これこそYeyTubeドリームだろ。いや、うん。さすがに私はあまり高く設定してないけどさ。
「私どもが出せる金額の最大額なのですが……」
「うーん、もう少し安くてもいいですよ。どうせ視聴者さんには報酬のことは言わないんですし、ゲームを楽しく遊ばせてもらってますし、400万。で、どうでしょう」
「い、いいんですか?」
「はい。ただ、私はこの値段でいいっていうだけなんで、ほかの人にはきちんと相場通りに出してくださいね今後は」
「ありがとうございます……」
多分、これは世間一般からみたら報酬が安いとか思われるんだろうな……。
まぁ、私自身まだ金に困ってはいないし、何か買う予定もないし……。溜まっていくだけなのであまりお金はいらないっていう感じだ。
この登録者数になると本当に企業案件少ないからな……。本当に超大手からしか依頼が来ない。だって100万人こえると300万くらいなんだもん。400万となるとその4倍なんだもん。1200万かかるんだもん。
「っしゃー! じゃ、クリスマスは張り切ってまいりますよー! あと一週間でクリスマス! 今年もクリぼっち!」
「元気が良いですな……」
「もう元気出さないと欲求があふれ出てきますからね! この会社少し見学していってもいいですか?」
「大丈夫です。案内しましょうか?」
「お願いします!」
やる気出てきた~~。




